VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

イスラム国をめざす若者たち(7)イスラム国人質事件は首相の舌禍

せまりくる72時間という刻限。……
 
しかし、時が経つにつれて
今回の「イスラム国」人質事件の本質は、
安倍首相の舌禍事件であると私は思う。
 
つまり、この二人の人命がかかっている事件は、
そもそも1月18日にエジプトで
安倍首相が言わなくてもいいことを言ったために
起こったのである。
 
首相は、エジプトで何と言ったか。
 
We are also going to support Turkey and Lebanon. All that, we shall do to help curb the threat ISIL poses. I will pledge assistance of a total of about 200 million U.S. dollars for those countries contending with ISIL, to help build their human capacitiesinfrastructure, and so on.(*1)
 
*1:日本国外務省 Ministry of Foreign Affairs of Japan
Speech by Prime Minister Abe "The Best Way Is to Go in the Middle"
January 18, 2015  第4段落「Japan’s pledge」
 
 
それは私の拙訳ではこうなる。
 
私たち日本はトルコ・レバノンにも支援をいたします。それらすべてのことは「イスラム国」がもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。私は、イスラム国」と戦っている国々に、人的能力インフラなどを創るのを助けるために約2億ドルを供与することをお約束いたします。
イスラム国と戦っている国々に創られる「人的能力」となれば、
それは兵員養成と理解されるだろう。
 
また、そのための「インフラ」となれば、
前線基地建設などが思い浮かぶだろう。
 
ここで首相は、
人道支援(humanitarian aid)などという言葉は、
ひとことも使っていない
 
イスラム国」の幹部は
映像でもイギリス英語を話しているから、
それがとうぜん
彼らが受け取ったメッセージとなったわけである。
 
 
これでは
日本も十字軍にくわわった
などと言われても仕方ないではないか。
 
 
ところが、私たち日本人に発表された日本語版では、
そこはこのようになっている。
 
イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。(*2)
*2: 日本国外務省による当該部分の日本語訳
 
微妙なニュアンスのちがいに
お気づきだろうか。
 
「地道な人材開発」「インフラ整備」
というのは
人道支援だから、これは行うのが当たり前」
という論法で安倍首相は
私たち日本国民を説得しようとしている。
 
げんに、こういう報道もあった。
 
首相は20日、菅義偉官房長官との電話で「人道支援だということをあらゆるメディアを通じて強調しよう」と確認した。(*3)
*3: 毎日新聞 2015年01月21日 東京朝刊
イスラム国:日本人殺害脅迫 首相中東歴訪利用「人道目的」曲解の恐れ」
 
安倍首相が、「人道支援」だと流布することで
なんとか乗り切ろうとしていることがうかがえる。
 
しかし、「人道支援」だということを
「あらゆるメディアを通じて」
日本人向けにいくら強調したところで、
イスラム国に受け取られたメッセージでは
そうなっていないのだから、
どうしようもないではないか。
 
人道支援」というのは、
「あとからのこじつけ」
とまでは言わないまでも、
「あとから軌道修正した意味づけ」
の側面がつよいと思われる。
 
 
ひどいことをするイスラム国の
責任を問わなくてよいということではないが、
そういうひどいことをやっている組織だとわかっていて、
そこと戦っている相手の国々に、
 
「戦ってください。
 影で支えます
 
みたいなことを言えば、
あとからいくら「あれは人道支援だ」などと言ったところで
 
喧嘩を売ったのと同じではないか。
 
刺激するのはあたりまえではないか。
 
だから、この事件は首相の舌禍だというのである。
 
 
安倍首相は国内の選挙で大勝し、
盤石の足元を固めた気になっていて、
 
「もう、今おれが何を言っても
 国民も、国際社会も、おれについてくる」
 
と慢心したすえの
勇み足の発言であったということである。
 
 
こうなると解決策は一つしかない。
 
安倍首相はエジプトでの演説を撤回し、
2億ドル供与を白紙にもどすべきである。
 
そうすれば、
イスラム国」が日本人二人を人質にとった理由がくずれるから、
問題も白紙にして交渉を始められるというものである。
人質解放されるのではないか。
 
 
イスラム国にわたった日本人は、
 自己責任であることを遺言しているのだから、
 殺されて本望なのではないか」
 
という見方もあるだろうが、
それはいま、別の次元の問題である。
 
もし2億ドル供与をそのままにして、
平和解決をうたい、人質解放のために、さらに2億ドルの身代金を払うとしたら、
 
  2+2=
 
であり、これはまた
 
安倍首相がカイロで一晩 英雄気取りになったために
国民は4億ドルも支出することになるのである。
 
 
いっぽう国内には、この寒空の下、
生活保護費をどんどん削られている貧困層がいるのだ
 
外交の晴れ舞台で
一度言ったことを引っ込めるのは、
安倍首相よ、あなたのプライドが傷つくかもしれないが、
今回の「イスラム国」人質事件は
あなたがカイロで「いい気になってしまった」ツケだと認めて、
ひとまず2億ドル供与の話は撤回してください。
 
「人命第一」とおっしゃるなら、
これが第一の道です。
 
 
  •   

    初めまして。全く同感です。この事件は「安倍首相の舌禍事件」として記憶されるべきです。安倍は戦後で最も危険な総理大臣だと思います。


    危険なテロリストにわざわざ喧嘩を売って「テロに屈しない」とかいうフレーズを多用されても、白々しく感じます。買わなくてよい喧嘩を自ら買い、日本を「やったらやりかえす泥沼」に引きずりこもうとする安倍首相は危険です。 削除

    ムスカ大佐 ]

     

    2015/2/4(水) 午前 6:12

     返信する
  •   

    ムスカ大佐さま コメントをどうもありがとうございます。

    おっしゃるとおりです。安倍首相はおそらく結果的に「アベノミクスは成功だった」という経済状況へ持ち込むために、準戦時体制による経済活性化をねらって、「国際協力」「人道支援」などと言い始めたのでしょう。 削除

    チームぼそっと

     

    2015/2/4(水) 午前 10:51

     返信する
  •   

    顔アイコン

    私見を述べます。
    阿部首相が何故エジプトでこのような声明を発表したのか?を考えてみなくてはなりません。
    中東の春(?)もウクライナ問題もISILもその裏にはCIAが操作するNGOが大きく関与していることは、御存知でしょうが、多くの専門家が指摘をいたしております。
    近年は既に第三次世界大戦とも謂える経済戦争が始まっております。第一次第二次大戦、朝鮮戦争ベトナム戦争、等々を経て国家対国家の戦争は形而下的に儲けが少なくなりました。その理由は人間が少し賢くなり、戦争と紛争の裏に暗躍する組織を見破り始めたからです。
    近年は流行語の【テロリスト】は昔から存在しましたが、NY同時多発テロ事件から、【テロ】という語彙を政治と商売にする組織が、超大国と謂うブランド国家の名を表に出して可能性のある地域で紛争を起こしているのです。現在はグローバリズムナショナリズムの戦いなのです。
    日本はこの地球上で最も永くナショナリズムを築き続けた国です。安部首相の困難さはここにございます。
    阿部首相が『テロリストに喧嘩を売った』とは、アメリカに喧嘩を売った、ことになります。 削除

    andoorinn ]

     

    2015/5/31(日) 午後 3:09

     返信する
  •   

    andoorinnさま コメントをどうもありがとうございます。

    「現在はグローバリズムナショナリズムの戦い」とは、まことにおっしゃるとおりですね。

    精神の探求よりも経済的な豊かさを求めるベクトルと、自己のアイデンティティを失うまいというするベクトルは、ひとりの人間の中にも内在し葛藤しているかもしれませんが、それが地球規模に分散し投影されたのが、おそらくそういう戦いなのかもしれません。 削除

    チームぼそっと

     

    2015/5/31(日) 午後 4:22

     
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