VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

イスラム国をめざす若者たち(8)改訂版・イスラム国人質事件は首相の舌禍

さまざまな新事実がわかってくるにつれて、
いよいよ今回の一連の事件は、
安倍首相の舌禍事件であったと私には思われる。
 
なぜか。
 
安倍首相は、
1月17日(日本発表1月18日)の時点で、
湯川さん・後藤さんが
イスラム国にとらわれていることを知ったうえで
 
イスラム国と戦っている国々に支援
 
という演説をカイロでおこなった、
という事実が、
あらたに1月27日の報道であきらかとなったからである。
 
 
菅義偉官房長官は27日の記者会見で、昨年8月17日に千葉県出身の湯川遥菜さん(42)に関する情報連絡室を設け、11月1日に後藤さんを加えたと説明した。これは後藤さんがトルコに住む知人のシリア人男性に「武装勢力に拘束された」と連絡したのとほぼ同じころ。後藤さんの家族に約20億円の身代金を要求するメールが届いたのはその後だ。菅氏は「事案の性質上、非公表にしていた」と述べた。(*1)
 
 
官房長官が、このような
非公表にしていた事実を明るみに出したのは、
1月27日の国会で、
次のようなやりとりがあったためである。
 
 
前原議員
イスラム国と戦っている国々への支援を表明したことについて
 リスクについてはどのように認識していたか」

安倍首相
リスクを恐れるあまり、このようなテロリストの脅かしに屈すると、周辺国への人道支援はおよそできなくなる。
(*2)
 
*2:TBS News-i 2015.01.27 17:14
 
 
まず人道支援(humanitarian aid)という表現が、
もともとのカイロ演説の該当部分にはなく、
 
あとから前面に押し出されてきた言葉である
ということは、
 
詳しく述べたとおりである。
 
 
安倍首相がカイロの演壇に上がったとき、
私たち一般国民は
まさか日本人がイスラム国に人質にとらわれていることを知らなかった。
 
しかし、安倍首相はすでに知っていた。
 
情報連絡室が設置されているのだから、
身代金要求までもわかっていたはずである。
 
首相は、それをまじめにとらえていなかったのではないか。
 
そして首相は、こう考えたのではないか。
 
「あの身代金の件は、
 まだ国民は知らないのだから、
 表に出す必要はない。
 
 でも、そうやって
 日本もイスラム国には迷惑をかけられている。
 
 だから、
 イスラム国と戦っている国々を助けてやろう。
 
 しかし、
 集団的自衛権その他の問題があるから、
 自衛隊を送るなどの方法ではなく。
 
 そんなことをすれば、
 イスラム国を刺激するかもしれないが、
 まさか日本人を殺すまではしないだろう。
 
 えーい、そこは一か八か。
 
 国内の選挙で勝利をおさめた私へ向けて、
 中東の国々も、
 私におおいに期待している。
 この期待を裏切るわけにはいかない」
 
 
これは、一つの状況判断である。
 
結果に責任を持つべき、
一つの状況判断である。
 
しかし、その結果が
現在のようになってきているので、
あわてて27日の答弁では、
人道支援」などという言葉をあとから持ってきて、
 
リスクを恐れるあまり、
 
 テロリストの脅かしに屈すると、
 
 周辺国への人道支援はできなくなる」
 
などという表現になったのだろう、と思う。
 
聞こえのよい言葉ではあるが、
これは裏を返せば、
 
リスクをかえりみず、
 
 テロリストを刺激すると
 
 人質となっている国民の命を守ることはできなくなる」
 
という状況でもあっただろう。
 
その両方は、
一つのコインの表裏であった。
 
どちらを取るかは
カイロの演壇にのぼったときに、
安倍首相にとって
二者択一の行為の選択であったわけだ。
 
そのうえで安倍首相は前者を取ってしまったのだ。
 
慎重路線ではなく、勇み足路線をとることを選んでしまったのだ。
 
 
その結果として、
湯川さんは殺され、
後藤さんの命も危機に瀕している、
という現在がある。
 
結果的に、安倍首相は状況判断をまちがえたのである。
 
これは、不可抗力だったと言えるだろうか。
 
「いまは首相の責任を云々いっている時ではない」
という言説によって、
首相のこの責任をうやむやにするというのは、
なにか違うだろう。
 
やはり今回の一連の事件は、
安倍首相の舌禍から発するところが大である
と言わなくてはならない。
 
いまは人質釈放に専念するにしても、
国民はこの事実をおぼえておく必要があるだろう。
All Right Reserved (C)VOSOT 2013-2020