VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

Dr.倫太郎の恋(1)対話療法と薬物療法

 

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4月15日にスタートして、

毎週水曜日22:00から日本テレビで放送中の
連続ドラマ『Dr.倫太郎』
が話題を呼んでいる。
 
精神医療をテーマとした連続ドラマである。
 
といっても、
「それだけでは視聴者がついてこない」
とプロデューサーが計算したのか、
ラブ・コメディの仕上がりになっている。
 
私はひとりの視聴者として
ラブ・コメディの部分はどうでもよい。
あちこちに散発的にちりばめられた
精神医療のディテールに注目している。
 
堺雅人演じる主人公「Dr.倫太郎」は
どんな患者の心にも寄り添い
対話によって治してしまう
スーパー精神科医として設定されている。
 
彼は精神分析の出身である。
 
これに対するライバルの教授は、
患者の心に寄り添うなど時間の無駄で、
薬物投与こそが精神疾患を治す、
と信じている。
 
彼は脳科学の出身である。
 
二人がつとめている病院の理事長が第三者に対して、
この二人の治療法の対立を解説するセリフがある。
 
「どっちが正しい、ということはありません。
 
 ちょうど柔道空手のようなもので、
 
 同じような格好をしていますが、
 
 やってることはまるでちがいます
 
そうなのだ。
 
対話療法と薬物療法は、
まさに柔道と空手である。
 
ところが、精神分析の始祖フロイト
もともと目指したのは脳科学であった。
 
それから100年以上の歳月が経ち、
脳科学に対立する知識の体系として
精神分析があつかわれていることを知ったら、
フロイトは何と言うだろうか。
 
Dr.倫太郎は言う。
 
精神分析は、共感の科学です」
 
しかし、フロイトが創始したものは、
中立者としての分析者が前提となる。
 
Dr.倫太郎は、精神分析につかうカウチに
患者を横たえて話を聞くが、
あれはいっしゅのお笑いであって、
あのように横になっておこなう方法論そのものは、
いまの日本では(世界でも)
まったく主流ではないと思う。
 
しかし、ナラティブ・セラピーであっても、
認知療法であっても、
曝露療法であっても、
なんらかのかたちで精神分析を源流とし
現代風にアレンジした末裔と考えることができるだろう。
 
そう考えると、
「現代ではすっかり精神分析は行なわれなくなった」
というのは早計である。
 
それはあくまでも
狭義の精神分析のことであり、
広義の精神分析は水に薄められて
私たちの生活空間に広く普及している。
 
このぼそっとプロジェクトも、
ある意味で精神分析という山あいの渓谷から流れ落ちた
下流の河原の小石の一つかもしれないのである。
 
 
・・・「Dr.倫太郎の恋(2)」へつづく

vosot.hatenablog.com

  • 亀はどちらかというと 心理畑 カウンセリング畑 寄りの認識を持つ人間なので
    精神科医の薬主体の治療というかなんというか
    そういった接近仕方にどこか違和感をもつものですが
    無認可の精神の通所施設で働いていたとき
    ある利用者がバランスを崩し パニくっていたとき
    病院につれていってくれ 注射を打ってほしいと懇願されました
    しばらく話を聴いていてもどうにもならなくて
    一緒に病院にいったことがあります
    しばらくすると ケロッとした表情で出てきて
    あれは一体なんだったんだろうという思いになったことがあります
    どういえばいいんだろう 急性症状のときって薬って劇的に効くことがありますね
    そのあと なにごともなかったかのように他の利用者と麻雀に興じていました

    心というのは精神というのはいまだに不思議です

    Dr倫太郎 第一話はみのがしましたが第二話はみました
    いま 売れっ子の脚本家みたいなので いろんな尾ひれをつけて 展開しそうですね 削除

    ちゃらんぽらん亀 ]

     

    2015/4/29(水) 午後 5:49

     返信する
  • ちゃらんぽらん亀さま コメントをどうもありがとうございます。

    薬物投与は劇的な効果をあらわす場合がありますね。その最たる例が「飲み会」でしょう。(エチルアルコールも一種の薬物と考えれば)

    中長期的に考えて、「飲み会」で患者が良くなってはほんとうに何かまずいのだろうか、という問いを私は持つことがあります。

    私(ぼそっと管理人J.I.)は、治療者ではなく、カウンセラーでもなく、あくまでも患者、もしくはクラエントの一人として発言する、という立場を取りたいと思っております。

    それゆえの無知蒙昧がいろいろあるとは思いますが、今後ともよろしくおつきあいいただければ幸いです。 削除

    チームぼそっと

     

    2015/4/30(木) 午前 1:30

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