VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

Dr.倫太郎の恋(7)陰性転移と逆転移

「 Dr.倫太郎の恋(6)」からのつづき・・・

#齊藤學被害 #精神医療被害 #精神療法被害

by ぼそっと池井多

 

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昨夜、ある席でも話に出たのだが、
Dr.倫太郎日本テレビ; 水, 22:00-)
ドラマ自体は、
じつは、あまり見るべきものがない。
 
私自身は、自分の人生が大変なせいか、
あまりラブ・コメディの類を楽しめないのだ。
 
けれども、
精神医療における
転移逆転移というものに
真正面から光を当てたのは、
特筆すべき点だと思う。
 
転移と逆転移は、
患者社会で起こる人間的な現象の
すべての原因となっている
といって過言ではないだろう。
 
ところが、このことが
精神科にかかったことのない人には
何のことやらさっぱりわからないらしい。
 
そのために、これまで
どうしても患者社会の話が
一般社会に伝わらななかったことがある。
 
このように根本前提が伝わらないと、
患者社会はまるで
見えない壁で囲まれた閉鎖病棟のように
「閉じた社会」となってしまう。
 
となると、
 
 
患者社会で起こっていることは、
一般社会で起こっていること
 
 
という前提でものごとが語れなくなることにつながるのである。
 
これは、ゆゆしきことだ。
 
 
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治療がうまく行き始めると、
患者は治療者に好ましい人物像を投影するようになる。
これを陽性転移という。
 
具体的には恋愛感情や
親に対して果たせなかった思慕の感情などがそれにあたる。
 
教科書的には、
陽性転移という現象は、
精神科の治療に役立つものとされている。
 
しかし、それは一筋縄ではいかない。
いろいろなリスクを内包しているからである。
 
何かのきっかけで
患者の治療者への思いが裏切られると、
感情はたちまち反転し、
恨みを抱くようになる。
これを陰性転移という。
 
陰性転移ですら、
みごと治療に役立たせるような
熟達した治療者も中にはいるが、
たいてい陰性転移は治療を妨げる。
 
また、陽性転移を向けられた治療者が、
逆に患者に好意を持ってしまうことを
逆転移という。
 
逆転移をしてしまったら、
治療者は治療者として負け
と言えないこともない。
 
しかし、自己評価の高い患者であると、
自分にまったく好意を向けてこない治療者に
いつまでも
「お慕い申しております」
と言っているとは限らない。
 
そこで、治療者は
いかにもその患者に逆転移をして
好感情をいだいているかのように見せかけながら、
うまいこと患者の陽性転移だけを
かすめとりながら治療をすすめていく。
 
それは、一種の綱渡りである。
 
このように書くと、
さも難しいことをやっているようだが、
一般社会はこんなことにあふれている。
 
私はあまり詳しくないのだが、
風俗業界において
キャバクラ嬢やホスト男が
しばらく顔を見せない常連客に
営業電話を入れるようなものであろう。
 
じじつ、私の治療者などは
かつては後進の女性セラピストたちが
あまりのぼせあがらないように、
 
「いいか。お前たちはみんな
心の売春婦にすぎないんだぞ」
 
などと訓戒を垂れていたものだ。
 
最近は、
相手が某アドバイザー養成講座に来ている
回復中の患者たちであるので、
そんなことは言わないらしい。
 
 
 
「患者の依存転移になる」
 
ということはすなわち、
 
「患者は客さまとして持ち上げ続けなければならない」
 
ということであって、
これはまさに、ヘーゲルがいう
 
奴隷弁証法
 
なのである。
 
そして、患者本人の聞いていないところでは、
 
「あの患者上がりのカウンセラーじゃ使いものにならない」
 
などと馬鹿にしていると、
プロのカウンセラーたちは言う。
 
ようするに、
 
あっちああ言い、こっちこう言い、
 
という状態ではどうなのか、という疑問を突きつける。
 
しかし、このように表と裏を使い分けられるのは、
その治療者の
 
「人は、関係性の中にのみ存在する」
 
という理論に基づいているのである。
 
だが、たとえば私自身はここまで人間が拓けていない。
人としてできるだけ、
あっちで言うことと、
こっちで言うことを
一致させたいと思う。
 
 
イメージ 3
 
 
「してはいけないが、
 しているように見せなくてはいけないもの」
 ……すなわち逆転移
 
この逆転移を、
主人公、精神科医の倫太郎が
患者である芸者の夢乃に対して
本当にしているかどうかで、
おそらくこのドラマは最後まで引っ張っていくのだろう。
 
 「Dr.倫太郎の恋」(完)
 
 
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    連日すみません。 「心の売春婦にすぎないんだぞ」という塞翁先生の言葉にショックを受けました。 塞翁先生もワイエフエフでカウンセリングをしているそうなので 衝撃的な言い方をすると「俺は心の男娼にすぎない」となりますでしょうか。 で、真子社長が娼館の女将と。 「だから何だ?それがどうした!」と言われたら なんでもないし、どうしもしないのですが 落ち込んで、悲しく辛い気持ちになります。そしてワイエフエフで塞翁先生からカウンセリングを受けることができる お金持ちの人をうらやましく感じます。 削除

    [ egika ]

     

    2016/5/13(金) 午後 9:20

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    egikaさま コメントをどうもありがとうございます。
    カウンセラーなど心理の援助職といわれる仕事は、肉体的な接触ぬきの売春婦のようなものだ、ということを塞翁先生はおっしゃりたかったのだと思います。
    今の日本社会では、売春やセックス・ワークにまだ偏見が多いので、それをリカモリ受講生にいうと辞めていってしまうため、塞翁先生は最近は言わなくなったのでしょう。

    私自身は生活保護の貧乏人なので、ワイエフエフのカウンセリングなどとうてい受けられませんが、ぼそっとプロジェクトのような自助的な活動により、そのお金を支払う以上の「治療」「回復」を得ております。貧乏人もけっして回復への道が閉ざされているわけではありませんよ。どうぞ希望をお持ちください。 削除

    チームぼそっと

     

    2016/5/14(土) 午前 1:48

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    返信ありがとうございます。おっしゃる通りですね。 私は さいおうミーティングで先生から、見せしめとして晒し者にされたり 恫喝されたり 痰つぼ扱いされたと感じる事がありました。 なのでその様な事をされたことが無いであろう上級患者がうらやましく「お前たちは娼館ワイエフエフに大金払って男娼・塞翁と心の性交している上客にすぎないんだぞ」と 意地悪を言いたくなってしまいました。けど塞翁先生と心の性交なんて気持ち悪い。 削除

    [ egika ]

     

    2016/5/14(土) 午後 4:02

     返信する
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    返信ありがとうございます。おっしゃる通りですね。 私はさいおうミーティングで先生から、見せしめとして晒し者にされたり 恫喝されたり 痰つぼ扱いされたと感じる事がありました。 なのでその様な事をされたことが無いと思われる上級患者がうらやましく「お前たちは娼館ワイエフエフに大金払って男娼・塞翁と心の性交している上客にすぎないんだぞ」と言いたいくらいの気持ちがありました。 けど塞翁先生と心の性交なんて気持ち悪い。 削除

    [ egika ]

     

    2016/5/14(土) 午後 4:11

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    egikaさま コメントをどうもありがとうございます。
    飲み歩く男には、居酒屋派とスナック派がおります。居酒屋派は店の肴や酒を目当てに、スナック派は店のママさんとの会話を目当てに行くことが多いです。この場合、ママさんは男の客にとってカウンセラー。じっさい性風俗の店へ行って、話だけして帰ってくる男性客もいます。このように心のケアと風俗業界は、おそらく昔から切っても切れない関係があるのでしょう。

    「上級患者がうらやましい」
    というegikaさんの感情は、痛いほどよくわかります。私たち患者のそういう感情が、私たち患者社会の底流を動かしているのでしょう。 削除

    チームぼそっと

     

    2016/5/14(土) 午後 7:41

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    返信ありがとうございます。大変勉強になりました。 特に「心のケアと風俗業は、おそらく昔から切っても切れない関係があるのでしょう。」という言葉が胸に染みました。 私はリカモリ講座の「自らの体験に基づく助言活動をしたいと考えている人」という出願資格の文言が苦手です。助言活動をしたくないので。 でも「心のケアと風俗業は切っても切れない関係かも。スナックのママ・マスターになったつもりになりたい人」という様な出願資格文言だったら、講座に興味を持ったかもしれません。 削除

    [ egika ]

     

    2016/5/14(土) 午後 10:26

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    egikaさま コメントをどうもありがとうございます。
    いいですね。ワイエフエフが頭が柔らかければ、「スナックのママ・マスターになりたい人」という条件を、ぜひともリカモリ講座の募集要項にかかげるべきですね。応募者が増えることでしょう。 削除

    チームぼそっと

     

    2016/5/14(土) 午後 11:33

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    顔アイコン

    返信ありがとうございます。 ですよね。マーケティング・ワークショップも 目的・対象に「人気と人望を兼ね備えたママ・マスターを目指している方も」と加えて下されば 私は参加したかもしれません。 また「『エコ』とか言い出す人、大嫌い。自分だけ助かろうって根性がダメ。添加物は みんなで一緒に食べようよ」という様な事をおっしゃっていらした塞翁先生が ザストの幹部にエコみたいな活動をしている方を器用されている事にも驚いています。 ふざけた様な事を書いて 申し訳ありません。 でも「ザスト通信を読む(17)技法主義」にJ.I.さんが「私は、リカモリ講座の旗ふり役になっていたかも」という様な事を書いておられたので、思い切って書いてみました。 削除

    [ egika ]

     

    2016/5/16(月) 午後 7:57

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    egikaさま コメントをどうもありがとうございます。
    よくご存じですね。そうなのです。塞翁先生がザスト管理に起用しておられるあの方は「エコとか言い出す人」なのです。
    「技法主義」に書かせていただいたことはほんとうです。あのとおりの文脈で、そう思っております。 削除

    チームぼそっと

     

    2016/5/16(月) 午後 10:28

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