VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

鬱である人・鬱でない人(8)セカンド村ひきこもり論争の行方

鬱である人・鬱でない人(7)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多
 
 
たぶん十年ほど前になるか、
Yahoo!ブログの前身ともいうべき
「Yahoo!セカンドライフ
という掲示板が存在した。
 
このYahoo!ブログをやっている方の中にも、
そのOBがいらっしゃるかもしれないが、
私もまったくちがう名前で、
Yahoo!セカンドライフを利用させていただいた。
 
セカンドライフというくらいだから、
利用者のほとんどは中高年、
定年後の人生を楽しんでいる方であった。
 
しかし、私のように、
当時まだ中高年ではなかった者も
多く利用していた。
 

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このYahoo!ブログでも、
よく「投稿ネタ」と称して
記事の「お題」が与えられるが、
Yahoo!セカンドライフでもそうであった。
 
昨今のYahoo!ブログの
「投稿ネタ」に比べると、
はるかに硬派でヘビーなお題だったように思う。
 
あるときYahoo!編集部が、
ニートについてどう思う?」
というお題を出した。
 
このテーマは、たちまち
投稿者たちのあいだで、
「ひきこもりは是か非か」
という論争に発展した。
 
世は「ひきこもりバッシング」の全盛期であった。
 
若者(と思われる投稿者)たちが、
ニート・ひきこもりの論理を必死に投稿していた。
私の目には、
みんな、りっぱな文章であった。
 
私も、及ばずながら
ひきこもり肯定派として参戦した。
 
だが、戦況は圧倒的な劣勢にあった。
 
ひきこもり攻撃派の主力部隊は、
当時の中高年オジサン、オバサンであった。
 
彼らが放ってくる攻撃の矢は、
「こうだから、こうなんだ」式であり、
論理と知性に欠けているように思われた。
 
その点、いまのYahoo!ブログに比べると、
こう言っちゃなんだけど、
Yahoo!セカンドライフはだいぶレベルが低かった。
 
しかし、
彼らは有無をいわさぬ勢いで押してきた。
数の多さを
頼みにしているきらいもあった。
 
パソコンを点け、ブラウザを開くと、
あちらからも、こちらからも
干戈(かんか)の響きが伝わってくるような時代であった。
 
こうして、我ら若者ひきこもり肯定派は
じりっ、じりっ、と後方へ追い詰められ、
一人、また一人と斃れていった。
 
ぷっつりと投稿が途絶えるのである。
 
私はなんとか持ちこたえ、
刀折れ矢尽きても善戦したが、
中には私だけを狙い撃ちしてくるオバサンがいた。
 
私が何を言っても
責めてくるのである。
 
けっして議論や論争ではなく、
独特の言葉まわしで
責めてくるのである。
 
こちらが相手にしなければ、相手にしないで、
これまた責めてくる。
 
しかも今日、Yahoo!ブログにも出没する
「荒らし」とはまたちがう手のものであった。
 
そのオバサンに、
やがて私は、
私を虐待した母を感じるようになっていったから、
文章というものは恐ろしい。
 
顔も見えない、声も聞こえない方の文章も
ずっと読んでいれば、
しだいに声が聞こえてきて、
顔が見えてくるものである。
 
パソコンから離れ、買い物などしている最中も、
このオバサンが責めてくる顔や声が
私の脳裡に浮かぶようになった。
 
よっぽど精神科に通おうかと思ったが、
考えてみれば、すでに私は
精神科に通っているのであった。
 
そうこうするうちに、
Yahoo!編集部が
「ちょっとこのコーナー、なんとかしようよ」
ということになったのか、どうだかわからないが、
「Yahoo!セカンドライフ
というセクションごと
ウェブ上から消滅することとなり、
それにともなって
ニート・ひきこもり論争も終戦をむかえた。
 
勝者なき戦いであった。
 
あれから、おそらく十年。
 
いまYahoo!ブログを見渡すに、
当時のYahoo!セカンドライフ
ひきこもり叩きをしていたとおぼしき方と、
一人も遭遇しない。
 
これは、日本社会が少し進歩したということだろうか。
それとも、
当時、健筆をふるっていた彼らは、
もはやYahoo!ブログに移行しなかったのだろうか。
 
……。
……。
 
原発問題、地球温暖化、食糧不足…。
物質文明は行き詰まりを見せている。
 
これからは精神文明の時代だという人もいる。
 
となれば、
物質はあまり消費しないで
精神生活をつむいでいける、
ひきこもりという種族が、
もっと評価される日も来るかもしれない。
 
 
 
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    冷静な議論は有意義ですが、
    それができない人が世間にはいっぱい居ますね。
    感情的になったらそれでお終いですね。
    大変興味深く読ませていただきました。
    ・ 削除

    カレエダ ]

     

    2015/8/16(日) 午前 10:09

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    カレエダさま コメントをどうもありがとうございます。

    おっしゃるとおりです。今のYahoo!ブログ村は、私が関わらせていただいている方々はみなさんレベルが高いので、あまりそうした心配はいりませんが、「Yahoo!セカンドライフ」のころはすごかったのです。

    カレエダさんがおっしゃるように、物質文明から精神文明へ移行していけば、ひきこもりの存在価値も再評価されていくことでしょう。 削除

    チームぼそっと

     

    2015/8/16(日) 午前 10:59

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