VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

被災地の内と外(17)内なる被災

被災地の内と外(16)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多
 
 
日本経済新聞の浅山亮記者は、本人が熊本のご出身らしく、
それで熊本地震の取材に当たっているようである。
 
報道する文章(*1)には、
私たちが書くブログのような
当事者としての眼が感じられる。
 
一部を抜粋する。
 
テレビ局など報道機関は絵になるところを選んで映す。それが他の地域の実情を見えづらくし、支援の偏りを生む。

■見えない「内部」の被害

 地元のタクシー運転手は「今回の地震では、外観は大したことないように見えるけど、内部はめちゃくちゃライフラインも途絶えて生活にも困る」と語る。

 もちろん熊本市中央区では家屋の倒壊、半壊があった。南区では地震の影響で、路面が陥没し、周辺は地盤沈下して家が傾くなどしている。

 ただ熊本市内のほとんどの建物では、外観に被害を確認できない。家具が倒れ、水や電気、ガスなどが止まるなど内部の被害の方が大きかった。特に断水は切実な問題になった。
(*1)
太字は引用者
 
こうした見えない内部の被害ということは、
熊本の南、宇城市に住むブロ友
カレエダさんのブログからも強くうかがわれる。
 
カレエダは何も被災していないつもりでしたが、4/21(水)体重計に乗って見たら3.3kgも減っていました
カレエダの生活は外観上はあまり変わっていませんが、
(……中略……)

カレエダも体の中では被災しているようです。(*2)
 
このように、いわゆる被害は、
外から目に見えない「内部」に多く起こるようだが、
浅見記者もいうように、
テレビなどメディアという他者の視点は、
映像として「絵になるところ」を撮りたがるので、
派手に損壊している建物などに対象が向きやすい。
 
前回「不幸の他者性(*3)で述べさせていただいたような
「他者の不幸」を見るときに、
人はどうしても
 
「外から目に見える不幸」
 
を優先的にとらえがちである。
 
そのほうが、
まっさきに目で認識できるから、ということがまずある。
 
だが、もっと深い見方をすれば、
 
「ほら、ちゃんと共感してますよ」
 
と自他に認めさせやすいから
ということもあるのではないか。
 
いささか飛躍するように聞こえるかもしれないが、
そのことは、身体障碍者精神障碍者への
世間の目の向け方のちがいにも
言えそうな気がするのである。
 
精神障碍者といっても、いろいろある。
 
けっして差別的な意味でいうのではないが、
一見するだけで、
「この方は精神障碍者だな。ケアが必要だな」
とわかる方も多くいらっしゃる。
 
しかし、ちょっと見ただけでは、
とても精神障碍者だと思えない人間も多い。
 
私自身が、たぶんそうだと思う。
 
見た目にはなんら異常がなく、
ただの怠け者にしか見えない精神障碍者である。
 
たとえば『五体不満足』の乙武洋匡さんと
私が一緒にいたら、
世間の人はおそらく乙武さんに
 
「たいへんですねえ」
 
という目を向け、
私は健常者だと思うのではないか。
 
そこでもし私が、
「私も障害者です」
などと言いだそうものなら、
 
「あんたみたいに五体満足な働き盛りが
 なにが障害者なものか。
 この怠け者の税金泥棒めが」
 
と言われるような気がしてならない。
 
じじつ、言われたこともある。
 
乙武さんの『五体不満足』というベストセラーは、
まことによくできたタイトリング(題名づけ)なのである。
 
 
……いや、乙武さんの例は、
先の不倫事件で『五体不満足』が
じつは五人もの女性と、ということで
『五体大満足』だったことが発覚して以来、
あまり良い例ではなくなってしまった。
 
しかし、乙武さんのように視覚的に明らかな障害を持って、
けれど、なおかつ不倫をしていない身体障碍者の方と、
私のような、はた目には健康そのものの精神障碍者が、
一緒にいるところを想像してほしいのである。
 
必ずや、上に述べたような視線のちがいが
生じるのではないか。
 
それは、熊本地震で損壊している建物ばかりを映したがり、
なかなか「内なる被災」に向かないカメラと
同じ視線である。
 
・・・「被災地の内と外(18)」へつづく
 
 
 
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    今日丁度、そんな記事を読みました。精神疾患を持っている方はあの行列に並び食事や日常品を受け取る事は出来ません。私自身今なら出来ると思いますが、パニック全盛の時なら…多分餓死を選ぶしか方法は無かっただろうと思います^_^;見えない心の病気…^_^;理解してもらえないかもしれないけど、理解する想像力は養って欲しいと、切に願います。 削除

    myd*7 ]

     

    2016/4/27(水) 午前 0:44

     返信する
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    myd*7さま コメントをどうもありがとうございます。
    ほんとうにそうですね。私も症状がひどい時には、健常者と同じだけの避難行動をするのをはじめからあきらめてしまうということがあると思います。今日の新聞でも、熊本地震でお風呂に入れなくなった子どもの話が載っていましたが、やはり内部の被災はもっと重視されてしかるべきだと思います。 削除

    チームぼそっと

     

    2016/4/27(水) 午前 11:25

     返信する
  •       

    顔アイコン

    外なる被災は見えやすいですね
    内なる被災は見えにくいですね
    見えにくい内なる被災を語ろうとするチームぼそっとさんの語りは
    深いところをえぐっているので貴重だと思えます

    亀は仕事として関わっていたときもあるし いまでも身近に何人かいるので 表面的な理解ではらちがあかないことがあります 削除

    ちゃらんぽらん亀 ]

     

    2016/4/27(水) 午後 0:46

     返信する
  •       

    ちゃらんぽらん亀さま コメントをどうもありがとうございます。
    亀さんのように、両方の立場から見てきている方は、さぞかしいろいろなことがわかるでしょうね。
    私たちチームぼそっとがやろうとしていることを深くご理解いただいている亀さんのおっしゃるとおり、被災した建物の外観だけをとらえるカメラでは映しきれないものを、カメラで、あるいは言葉で、明らかにしていきたいと考えているわけですが、これがまた悪戦苦闘、暗中模索の連続でございます。 削除

    チームぼそっと

     

    2016/4/27(水) 午後 2:22

 
 
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