VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

無差別殺人犯を読む(26)浦安女性通り魔事件

無差別殺人犯を読む(25)」からのつづき・・・

by ぼそっと池井多

 

 

先週火曜日、10月18日に

千葉県浦安市にあらわれた通り魔は
32歳の女性であった(*1)
 
自称、主婦だという。
 
被害者には男性も女性もいて、
年齢層も広がりがあったから、
とくに男性を敵視するラディカル・フェミニストの類いではないのだろう。
 
NHK 2016.10月19日 7時34分
 
何といっても私の目を引いたのは、
容疑者が逮捕のさいに
 
医者に裏切られた。病院選びに絶望した
 
と語ったという点である。
 
そうした絶望感は、私も深く共感するものである。

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*2. 画面はNNN
 
 
しかし、残念ながら
具体的にどのようにひどい目にあったのか、
説明してくれる、もしくは、
説明しようとしてくれなければ、
周囲の人間は正確に理解ができず、
無関係の他者を殺傷しようとしたという加害者性だけが
人々の記憶に残ってしまうだろう。
 
犯人の女性は、かなりのアーティストであったことがわかる。
 
彼女自身がツイッターで公開している
画像のいくつかをご紹介しよう。
 

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ひきこもり的な美意識の奥に、
病んだ心が感じられる色使いである。
 
淡い肌の色と対照的な、
イチゴの毒々しい赤などは、非常に鮮烈だ。
 
そこには、きっと血が含まれているのだろう。
作者の怒りだ。
 
思えば、ムンクゴッホ、モジリアーニなど
後世に天才とうたわれるアーティストたちも、
はっきりと病んだ心が感じられる絵を描いていたものである。
 
また、容疑者は
 
 
医者はいつも私を踏みにじる。 
 
いつまでも あると思うな 人の縁
 
 
などと言葉をネット上に残している。
 
これらの語にも、私はおおいに共感する。
 
もし、彼女が事件を起こすまえにどこかで会っていたら、
同じく「精神科医に裏切られた」患者同士として
語り合うこともできたであろうか。
 
そういうときに、ほんとうの助けとなるのは、
「カウンセラー」だの「アドバイザー」だの
怪しげな肩書きをかかげる人々ではなく、
資格や肩書きで己れを鎧(よろ)うことなく
そのまんまの当事者本人で向かい合う患者だと思う。
 
 
 
 
 
 
通り魔というと男性だと思われていたような
時代もあったように思うが、
男性だけが人を殺傷するほど暴力的だという決めつけは
まるで根拠がない。
 
最近はとくに、
女性の通り魔が増えてきた印象がある。
 
そのような中で女性を偏重し、
男性の加害者性だけに焦点をあてる精神医療は、
はっきり「まちがっている」といってよいだろう。
 
 
・・・「無差別殺人犯を読む(26)-2」へつづく
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    顔アイコン

    報道される事件と呼ばれる背後にそれぞれの真実や大切な思いやなんやかんやがあるように思います
    事件事の加害者や被害者はあるとおもうのですが
    なんていうか 当事者でない亀はだれもが加害者だれもが被害者という思いでみることになります

    この事件の加害者への親和性をにじませるぼそっとさんの優しさというかやるせなさというか
    生きるということはほんにやっかいなことだと思ってしまいます
    当事者同士でなければわかりあえないこともあり
    当事者同士でもわかりあえないこともあるように思います

    彼女の絶望は彼女の絶望ですが
    どこか人間の絶望のような気もします

    それでも生きていくしかないところが悩ましいところですね削除

    ちゃらんぽらん亀 ]

     

    2016/10/24(月) 午前 3:57

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    ちゃらんぽらん亀さま コメントをどうもありがとうございます。

    おっしゃるとおり、このような事件があるたびに「加害者にも被害者にもなりえる自分」というものに思いを馳せますね。

    「悩むことに疲れた」というのは、たしかに「人間の絶望」かもしれませんね。しかし、精神医療というシステムが改善されていけば、「精神科医に裏切られた」と無関係な他者を刺すような事件は少なくなる余地があるでしょう。

    私が彼女に共感している。ということは、いま私の通うさいおうクリニックのように上下の序列がつくような患者社会は、この手の通り魔の温床だということです。 削除

    チームぼそっと

     

    2016/10/24(月) 午前 7:47

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