VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

貧困と人づきあい(35)「生活保護は恥を知れ」という支援者<後篇>

 貧困と人づきあい(34)「生活保護は恥を知れ」という支援者<前篇>」からのつづき・・・

by ぼそっと池井多
 
ひきこもりの支援者を名乗る
仙台の支援学校の先生、干葉裕之介(仮名)さんからの言葉。
 
安易にそのような発言をすることによって
支援者の方々や、
自分がこれまで汗水流して働いた税金が
生活保護に使われることに何の違和感も感じなかった人たちから
「そんな考え方をしているならば…」
見放されますよ。

池井多さんの発言は一個人の発言ではなく、
ひきこもり当事者の発言として世間は受け取ります。(*1)
*1.これは抜粋。
原文は前回「貧困と人づきあい(34)の終わりの方を参照。
 
これは、ある種の脅しのように私に響いた。
 
そもそも何をもって安易に発言」というのだろうか。
 
私は、
 
生活保護は権利だ。
 権利を行使するのは恥ではない」
 
と言ったのだった。
 
それを、この仙台の支援学校の先生は、
「安易な発言」
とおっしゃるのである。
 
なるほど、おっしゃることの微塵もわからないわけでもないが、
私自身は、
これを言っている干葉裕之介さんの生きてきた時間の
2倍までは行かないものの、
プラス20年くらい長い時間を生きて、
それなりに考え、磨いてきた人生観・世界観から出た発言である。
 
たしかに、
長く生きれば正しいことを言うとはかぎらない。
年寄りの言うことが、いつも正しいともかぎらない。
 
しかし、
私がいまの価値観にたどりつくまでに通った道は、
けっして安易ではなかった。
 
「そんな考え方をしているなら、見放されますよ」
 
と彼はいう。
 
つまり、
「ひきこもりを支援しないぞ」
と脅しているのである。
 
塞翁先生の、
「言うとおりにしないなら、治療関係を断ち切ります」
を思い起こさせる。
 
私個人は、この干葉裕之介さんという人に
どんな支援を受けているわけでもないから、
 
それなら、どうぞ見放してください
 
そんな支援なら、要りません
 
そもそも、誰が支援してくれなどと言いましたか
 
などと、あっさりと言える。
 
私は、生活の実状を語る必要書類の数々を提出して、
行政と交渉した結果、生活保護をうけ、
現在の生活をいとなんでいるわけだから、
この自称支援者に何も借りはない。
 
ところが、すると
それこそ「安易な発言」になりかねないようにしてある。
 
というのは、この干葉裕之介さんという人は、
「ならば支援は要りません」
と私に言われることを見越したのであろう、
 
お前の発言は、ひきこもり全体の発言だ
 
などと付け加えているわけである。
 
私が発言をひっこめないと、
干葉裕之介さんが支援しているらしい、
他のひきこもりへの支援を引き上げる、
と脅しているのだった。
 
つまり、私個人は見も知らない、
まったく他者のひきこもりを人質にとられて、
私は自分の言論を封じこめよ、
と脅されているのに等しかった。
 
どことなく、千葉さんの
「何としても自分の支援者としてのニーズは手放すまい」
という足掻きのようなものが伝わってくる。
 
「『支援者としてのお前はもう要らない』
とは、ぜったい言わせないからな」
 
という意気込み。
 
「必要とされる必要」への飢え。
 
そういったものが、そこはかとなく漂っている。
 
ところが、こちらも
「ひきこもりは横に連帯しなければならぬ」
と考えている以上、
まったく見も知らない他者のひきこもりを、
他者として切り捨てるわけにもいかないのである。
 
となると、
なにやら連帯や共感という概念そのものを
人質にとられているようでもある。
 
干葉裕之介さんはつづけた。
 
干葉裕之介
それとね池井多さん。
私が思うに、あなたは
生活保護のお金を受け取ることは当然の権利と考えておりませんか?
生活保護の資金を捻出してくれるのに
多くの人たちの努力や苦労があるということを忘れていませんか?

「俺たちは社会的な弱者!生活保護を受けるのは当然」
と思うような考えは違うと思います。
生活保護を受給するなら受給するなりの
「ありがたみ」や「感謝の気持ち」を持つべきだと感じます。

そして、私は
生活保護を受けている人たちも様々な事情があって
現状に至ったということは重々承知しております。

ですがね。生活保護を受給することが当然
という思考に至ることはどうかと思います。
皆社会のなかで生きている一員なのですから…
 
 
私は答えた。
 
ぼそっと池井多
干葉裕之介さん

ご反論をどうもありがとうございます。

まず基本的なことを確認しておきますが、
私はひきこもり当事者の一個人として
自分の意見を発言しているのであって、
「ひきこもり新聞」はここでは関係ありません。

ちょうどあなたのご意見が、
あなたがお勤めの学校を
代表する見解ではないであろうというのと同じです。

干葉さんは、上記のご反論の中で
「当然」という言葉を3回も使っておられます。

ところが、不思議なことに、
あなたが批判しておられる私の発言の中で
「当然」という語は1回も使っていないのです。

あなたが「当然」という二文字に、
どういう思い入れをそんなにこめられているのかが、
私如きには理解できません。

干葉さん。
あなたにとって
当然の権利」と「権利」のちがいは何ですか。


感謝ということでいえば、
私も日々感謝しております。

社会保障や福祉といった制度を可能にしている現代という時代に。
地震津波が襲ってこなかった今日という一日に。
蛇口をひねれば飲める水が出てくる水道に。
外へ出ても弾丸が飛びかっているわけではない平和に。

あるいは、こうして
あなたと議論できているインターネット環境に。

……感謝する対象は無限にあります。

しかし、それはまた異なったフェーズの問題であって、
ここで一つ一つ述べることではありません。
逆に、ここで一つ一つ述べていたら、
いつまで経っても発言の核心にたどりつきません。

また干葉さんは、
「安易にそのような発言をすることによって、……」
と書いておられますが、
いったい何をもって私が「安易に」そのような発言をした
と判断しておられるのでしょうか。


干葉さんが

「俺たちは社会的な弱者!生活保護を受けるのは当然」

と書くとき、
そこには弱者が弱者ゆえに強者になるような、
社会的序列の逆転が示唆されているように感じられます。

しかし、私はそのようには考えておりません。
弱者も、強者と対等に命をつなぎ、
社会で受け容れられる権利がある、
と申しているだけです。

「(生活保護受給者は)ただ十数万円のお金を手にして
それでいいと思っているのでしょうか?」

と干葉さんは書いておられます。

思っていますよ。
私もかつてホームレスになって野垂れ死ぬことを
一度は覚悟しましたが、
今は「ただ十数万円のお金を手にしてそれでいい」と
思っております。

そして、これらの言葉は
けっして安易に紡ぎ出されるものではありません。

毎日は、あなたのおっしゃる
「汗水流して働い」ている方と同じように
ハードなものです。

さらにたくさんのお金を稼いで
さらなる「快楽」を得たいかどうかは、
個人個人が決めればよいことであって、
そういう快楽を得られる富裕層や社会的強者から
人生観を強要されるいわれはございません。
 
……と、ここまで議論が進んだ時であった。
 
予想していなかったことが起こった。
 
スレ主であった上山さんが、
いきなりスレッドごと削除をしてしまったのである。
 
ちょうどこのYahoo!ブログでいえば、
コメント欄が炎上したときに
記事ごと削除や非公開にする操作に相当する。
 
上山さんにしてみれば、
東北の同輩である干葉裕之介さんと
東京のひきこもり、ぼそっと池井多が
お互い知らないもの同士、議論に火花を散らし始めたのに
おじけづいてしまったらしい。
 
干葉裕之介さんは、私とは意見はちがうものの、
議論のルールを守って攻めてくる人であるから、
かなりな部分、私はこの議論を楽しんでもいた。
 
同時に、生活保護受給者として、
この手の批判がやってきたときは、
逃げることなく真正面から受けるべきだとも思っていた。
 
それは、生活保護を受給しはじめたその日から
覚悟はしていた。
 
ところが、ここに到って
「議論をしないことが美徳とされる国、ニッポン」
が、その素顔をあらわしたのであった。
 
 
 
・・・「貧困と人づきあい(36)」へつづく
 
  •       

    顔アイコン

    見放されても良いんじゃない?!
    答えは其処にある。

    今、現在生きている事に価値が有り、自己が存在している事に価値が有り、重要だと思う。
    生活保護受給者として認知され、その権利を行使されて行く事は、至極当たり前の事であろう。生存権を行使しているのであるから胸を張っていれば良い。

    記事の様に「人」はそれなりにである。
    人其々の人生観、価値感等々を非難しても何も生まれはしない。他者の非難、中傷は、その様な考え方もあるのだと認める事だ。 削除

    goodじいさん ]

     

    2017/4/25(火) 午前 8:44

     返信する
  •       

    goodじいさんさま コメントをどうもありがとうございます。

    まさにおっしゃるとおりです。
    私一人なら、なにも「支援してくれ」と頼んだわけではありませんし、見放されて万々歳です。

    そこで干葉裕之介さんは、
    「これはお前一人の問題じゃない。お前が代表していることになる、多くの同胞がみんな見放されることになるぞ」
    と脅かしてこられたわけです。 削除

    チームぼそっと

     

    2017/4/25(火) 午前 11:32

     返信する
  •       

    顔アイコン

    >「議論をしないことが美徳とされる国、ニッポン」

    ですよね~
    議論などという対等の立場を前提にした言動は、この国ではごく限定的にしか許されていません。

    上下関係をわきまえない空気を読めない不届き者は、「言われなくても忖度しろよ!」という無言の圧力と共に排除されてしまいます。

    そういう社会の中で議論の場を提供し、それにまつわるごたごたを引き受けていくというのは、結構覚悟がいりますから、スレ主の方が怖気づく気持ちもわからないでもないですが。 削除

    hit***** ]

     

    2017/4/25(火) 午後 0:25

     返信する
  •       

    hit*****さま コメントをどうもありがとうございます。

    まったくそのままおっしゃるとおりで、付け加えるべきひと言もございません。__ m(_"_)m ___ 削除

    チームぼそっと

     

    2017/4/25(火) 午後 1:42

 

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