VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

治療者と患者(140)告訴への障壁

治療者と患者(139)」からのつづき・・・

by ぼそっと池井多
 
先日、本ブログの「貧困と人づきあい(39)収入申告書を提出」において、
私が所属する治療共同体のNPO
私が働いてきたぶんはいっさい報酬が払われなかった
という事実を書かせていただいたところ、
ブロ友のカレエダ(*1)さんよりこのようなコメントをいただいた。
 
 
いかなる理由があれ、仕事をさせておいて
それに見合う報酬を与えないのは、見逃してはならない不正義です。
経営する者が守らねばならない最低限の義務だと思います。
サービス残業の話などを聞くと腹が立ちます。
罪を犯して服役している人にも、知的障害があって福祉施設で働く人にも、仕事に見合った正当な報酬が与えられています
ぼそっとさんの場合は精神療法の一環として仕事をされたとはいえ、その仕事に見合った報酬は払わなければなりません。一般の会社でも研修目的で実習生が働いた仕事に対しては報酬が払われています。
いかなる理由があれ、仕事に対する正当な報酬を払わないということは許されません。
ぼそっとさんは患者ではあっても有能優秀な人材だと思います。その仕事に対しては時効にならないうちに、報酬を請求すべきだと思います。
経営者側が拒否したら裁判所の判断を仰ぐべきだと思います。このようなことが許されていいはずがありません。資力のない人を応援する制度もあります。
負けるはずはないと思いますが、もし負けたとしても
社会に投じる一石は小さくないと思います。

[ カレエダ ]   2017/5/9(火) 午前 11:54
カレエダさんは、体力的にはかなり弱っておられるようだが、
思考力にはまったく老いを感じさせない
とても明晰な方である。
 
おっしゃることは、まことにそのとおりなので、
このようなリコメントを書かせていただいた。
 
カレエダさま コメントをどうもありがとうございます。

いつもながら深いご理解に感謝いたします。

できれば私も司法判断を仰ぎたいと思います。しかし、精神医療の治療空間という特殊な場で起こったことを、どのように持っていけば社会的に白日の下にさらせるのか、私の貧弱な頭では考えがおよびません。

先方が、精神医療における「守秘義務」という概念を乱用して、法廷に提出できるような証拠をすべて握ってしまっていることが、大きなネックとなっております。

2015年12月7日に塞翁先生との会談において、塞翁先生のほうから「告訴する」(*2)と言ってきました。

告訴してくれれば逆に、治療共同体の中でおこなわれている数々の非道を公の場で述べられると思い、かえって楽しみにしておりましたが、いっこうに告訴される気配もありません。

いまの私にできることは、こうしてブログを通じて社会の皆さんに訴え、お知恵を拝借することぐらいなのです。

[ ぼそっと池井多 ] 2017/5/9(火) 午後 2:06 
 
 
我ながら、なんとも情けないリコメントであるが、
いくつか補足させていただきたい。
 
まず前提として、私は、
「感情的に訴訟を起こす」
ということだけはしたくない。
あるいは、人生の楽しみに裁判を起こすだけの資力がない。
 
こちらから事を起こすからには、
準備を万全にしていきたい。
 
しかし、これがむずかしい。
 
たとえば、「安い給料を払った」という証明は、
給与明細書を提出することなどで証明できるが、
雇用関係そのものが明文化されていなかった以上、
「まったく給料を払わなかった」
という証明もできないのである。
 
また、雇用関係がなければ、
いくら残業時間が長くても、
私の勤務実態はタイムカードなどには残っていない。
 
ここで、
 
法廷では、作為の証明よりも、
 不作為の証明がむずかしい
 
などといわれる問題が重くのしかかってくるのである。
 
 
 
 
 
 
 
一昨日、5月10日に厚生労働省は、
ブラック企業のリストを公表した(*2)。
 
厚生労働省労働基準局監督課 2017年5月10日
 
ここでいうブラック企業の定義は、
長時間労働や賃金不払いなど
労働関係法令に違反した疑いで送検された企業のことである。
 
そこには、
 
「知的障害のある労働者3名に、
東京都最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった」
 
として、最低賃金法第4条違反の疑いで送検された、
八王子市のある清掃会社も含まれている。
 
その罪状を、
 
精神障害のある労働者X名に、
東京都最低賃金を下回る賃金しか支払わなかった」
 
とすれば、
まさにそれはNPO法人ザストのこととなる。
 
しかしザストは、
表向きは福祉的な看板をかかげたNPOであるために、
捜査の対象にはなっていないようである。
 
したがって、送検もされる気配もない。
 
 
では、リカモリ制度の一環と称しておこなわれている
カウンセリングごっこの研修はどうか。
 
昨日5月11日、「研修期間」として1カ月以上無給で
女児にマッサージの仕事をさせていたために、
川崎で経営者の男が逮捕された事件が報じられた(*3)。
 
神奈川新聞 2017.05.11 08:00
 
この場合、「研修」と称して働かされていたのが、
未成年の女児であったため、
罪状は児童福祉法違反(有害目的支配)であった。
 
では、頭や心を支配されて働かされる者の、
肉体年齢は成年をすぎていても、
精神年齢が未成年に相当する場合は、
はたしてどうなのだろうか。
 
児童福祉法とはいわないまでも、
やはり似たような主旨の罪状を構成しないのか。
 
「研修と称して1か月以上無給で」
 
という部分は、ザスト・ワイエフエフならば
「1年以上無給で」
と、もっと長期化するのである。
 
 
 
 
 
 
このように周辺の論理構成はととのうのだが、
相手方が、
 
「いやいや、これは労働ではない。
 これは治療であるから、報酬を払う義務がない
 
といえば、それが通ってしまうだろうというところに
いちばんの難関があるのである。
 
治療などといっても、実態はこうだ
 
ということを逐一証明していかなくてはならないのだが、
今度は、それを証明する物証がない。
 
けっきょく、話は、
「治療」と称しておこなわれている行為の数々を
その集団の外にもわかるようなかたちで
提示することから始まると思われる。
 
たとえば、裁判所命令をとりつければ、
カルテを開示させることはできるだろう。
 
さいおうクリニックは電子カルテではないので、
裁判所がやってくるとわかった時点で
過去のカルテは適当に書き加えられて改竄される恐れがあるが、
それでも、いちおう開示させることはできると思う。
 
しかし、カルテを開示させたところで、
そこには私が必要なことは何も書かれていないと思う。
 
診察に行った日付けと、
「精神療法 30分」
というスタンプが機械的に捺されているだけである。
 
塞翁先生がその日、その患者に何を言ったか、
ひと言ひと言が記録されているわけではないのである。
 
患者のほうは、カルテには記載されない言葉、
塞翁先生が口から発した言葉をうけて、
熱病のように立ち上がり、街へ出ていき、
なにがしかの行動をする。
 
催眠をかけられているのである。
 
自分の頭で考えた思考にもとづいた行動ではないから、
自分でもなぜそんなことをやらなければならないか、
よくわからないうちに行動する。
 
そこでやった行動は証拠を残す。
 
しかし、その行動をおこなうにさいして
催眠や暗示をかけられていたことは証拠に残らないのである。
 
 
「それでは、塞翁先生が患者に何を言っているか、
クリニックの中で証拠を採取すればいいではないか」
 
と思われるかもしれない。
 
それが、できないようになっている。
 
まっさきに人が考えつくのが、
塞翁先生と患者の日々のやりとりを
映像や録音に収録することであるだろう。
 
しかし、患者の側が
治療空間における撮影や収録をすることは
院内の規則によって禁じられている。
 
治療者の側は、それを自由にすることができる。
 
そしてそれを守秘義務というのである。
 
もともと守秘義務とは、
患者のプライバシーを守るためにある概念だが、
それがすっかり
治療者・経営者が自分たちの所業を
患者に証拠に取られないために活用されているのである。
 
催眠にかかった患者たち、
治療者の思い通りになる患者たちだけの
閉鎖的な王国のなかでおこなわれている所業が
外へ、一般社会へ出てしまわないように
楯としてふりかざされる概念が「守秘義務」となっている。
 
治療者に忠誠を誓う、主体をぬきとられた患者たちが、
このような治療者の方針にのっとって
数々のミッションを自己任命し、
末端でそれを実践する先兵となっている。
 
かつてオウム真理教は、「信教の自由」を楯に取って
このような集団の閉鎖性を保とうとした。
 
閉鎖性が保たれている以上、
彼らの活動は思いのままであったからである。
 
塞翁王国は、「精神医療」を楯に取って
このような集団の閉鎖性を保とうとしている。
 
それで、王国の内部ではしゃあしゃあと
「これは医療ではない」
などと言っている。
 
医療ではない、というのなら、
医療法人の体裁を社会的にととのえているのは、
いったい何故であろうか。
 
 
 
 
・・・「治療者と患者(141)」へつづく
 
  •               

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    時間を拘束し、仕事に従事させれば其れに対し対価を賃金法に則り支払うのは法治国家であれば当たり前の事。
    へりくつは通らない。 削除

    goodじいさん ]

    2017/5/12(金) 午前 8:22

    返信する
  •               

    goodじいさんさま コメントをどうもありがとうございます。

    それはまさにおっしゃるとおりなのですが、法治国家では通らないことが、治療空間の名のもとに大手を振っておこなわれているのが治療空間であるわけで、そこが頭の痛い所です。 削除

    チームぼそっと

    2017/5/12(金) 午前 8:34

    返信する
  •               

    顔アイコン

    今では、厚生労働省の労働基準局への情報提供が一番です。地方であれば労働基準監督署ですね。 削除

    goodじいさん ]

    2017/5/12(金) 午後 5:08

    返信する

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