VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

イスラム国をめざす若者たち(11)ロシアの少年少女に広まる「青鯨」ゲーム

治療者と患者(143)」からのつづき・・・

by ぼそっと池井多
 
先週、5月19日に厚生労働省から発表された
自殺対策白書では、
15歳から39歳までの死因の第1位は「自殺」であり、
日本でも若年層の自殺の問題が深刻であることが
浮き彫りになっていた。
 
歴史をふりかえると、
人間が自殺へ向かおうとする動きはつねにあり、
ときおりそれを正当化し、
集団で自殺へ向かおうという運動のようなものが現われる。
 
かつては、そういう運動はきまって
正当化の道具として
なんらかの意味で政治思想を梃子(てこ)にしていた。
 
太平洋戦争末期の特攻隊とて
いっしゅの政治思想による集団自殺だと考えられる。
 
しかし、イデオロギーが力をうしない、
それと反比例するかのように
インターネットが普及してくると、
集団自殺を正当化する」という動きさえも
政治とは無関係なゲームと化してくるのである。
 
そのような背景をもって、
いまロシアを中心に
主に10代の少年少女たちのあいだに
とんでもない「自殺ゲーム」が流行っている。
 
青鯨Blue Whale) と名づけられた、
この「自殺ゲーム」では、
少年少女はグループの管理者から「課題」を与えられ、
それを競うように実行するのである(*1)。
 
The Daily Mail   2017.02.27
 
なぜ青鯨Blue Whale)なのかというと、
Blue Whale すなわちシロナガスクジラは、
自ら陸に乗り上げ「自殺」する
ということから、そう名付けられたらしい。
 
そこへ入った少年少女が指導者から与えられる「課題」とは、
以下のような内容である。
 
・早朝4時20分に起きる
・毎日、ホラー映画を見る
・指定された音楽のみを聴く。
・手に特定の言葉を刻みつける
・ナイフや剃刀を使い、手首や脚に「クジラ」を描く

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……そして、
・飛び降りに適した高いビルを見つける
・30日目または50日目にそこから飛びおりて死ぬ
*2.画像は「シベリア・タイムス」
Photo by The Siberian Times
 
少年少女たちは、
 
「最高のものごとは4つのSだけであり、
あとのことは生きるに値しない」
 
と教えられる。
 
4つのSとは、
 
Semiya(ロシア語で「家族」)
Saturday(土曜日)
Sex(セックス)
Suicide(自殺)
なのだという。
 
少年少女は指導者から
 
「こういう退屈な日々を
あとどれだけ過ごして生きていくつもりだ?」
 
などと問いかけられ、
若者の人生へのもどかしさと不安を、
巧妙にネガティブな結実へと持っていかれる。
 
少年たちには「負け犬め」、
少女たちには「お前は太ってる」
などと存在否定的な言葉を投げかけ続けることで、
指導者は彼らをコントロール下に置くのだという。
 
これによって、すでに130人にのぼる少年少女が
高いビルの上から飛び降りて自殺をとげており、
飛び降りていく様子を
友達がスマホなどで撮影した映像が公開されている(*3)。
 
かなりショッキングな映像なので閲覧注意である。
 
Le Iene
 
「家族」を「最高のものごと」の一つに挙げられておきながら、
それが自殺へのストッパーとならないということは、
こういうゲームに吸い寄せられていく子どもたちとは、
もともと家族が地獄であるのだろう。
 
つまり、これら少年少女が自殺へむかう底流には、
昨日の本ブログ記事
でも触れた
「復讐としての自己否定」
が入っているのである。
 
死ぬことはもちろん、
腕や脚に青鯨のかたちの傷を入れることは、
これまた復讐としての自己否定の一つのかたちである
リストカット(手首切り)」という精神症状を
定式化したものと考えられるだろう。
 
指導者は二十代。
つまり、少年少女よりもわずかに年上なだけである。
 
ちゃんと学んだのかどうかはわからないが、
精神医学や心理学に精通しており、
少年少女にひそむ「AC性」をみいだし、
それをみごとに増幅して、
自己実現の道具と化していくようである。
 
イスラム国を名乗るISISも基本原理は同じであろうし、
彼らがあたえられる「課題」は、
オウム真理教の「修行」をも思い起こさせる。
 
オウムの信者たちも、
宮台真司がいうところの「終わりなき日常」
が生きていけない感覚から、
あのような自罰的な宗教に飛び込んでいったのだった。
 
「こういう退屈な日々を
あとどれだけ過ごして生きていくつもりだ?」
 
という問いかけは、
 
「終わりなき日常に耐えられないだろう」
 
ということである。
 
 
 
 
 
 
オウムと似ているということはすなわち、
私の患者村とも似ているということなのである。
 
私たちの患者村では、
治療者から患者(とくに男性の)へ向けられる否定的な言辞は、
精神医療的に「去勢」などと正当化されている。
 
もちろん、
「塞翁療法はこの青鯨とまったく同じだ」
などと言うつもりはないが、
部分的には共通している要素がたいへん多いのは確かである。
 
 
以前、hashuさんが指摘されていたように、
私は長年、いまの治療共同体に通っているうちに
だいぶ人格が変わってしまったらしい。
 
ことに2015年4月、あとから入ってきた岡村美玖に
メール一本でザストを追い出されてから以降である。(*4)
 
 
これ以降の私は、
つねに怒りをもっている人間になったように思う。
 
これは、治療共同体で
何をやってもダメ扱いされ、
「去勢」などともっともらしい言葉をあてがわれながら、
すべての仕事において
否定的な部分にだけ光をあてられてきたから
としか考えられない。
 
 
この点は、
ロシア青鯨の少年たちが指導者から
「お前たちは負け犬だ」
という言葉を毎日浴びるのと同じである。
 
そういった言葉を浴びつづけて、
そのままほんとうの負け犬になっていく患者も多い。
 
なぜかというと、負け犬であれば、
目の前の治療者が肯定してくれるからである。
 
しかし、そんなものはニセモノの肯定であって、
一歩、患者村の外へ出れば誰も肯定してくれず
「ただの負け犬」
であることがわかるだけである。
 
竜宮城から帰ってきた浦島太郎みたいなものである。
 
治療者だって、本気に肯定しているわけではない。
「技法で」肯定しているだけである。
 
技法で肯定してやっている見返りとして、
治療者は自分の自己実現のための道具、
すなわち「デクノボウ」となることを患者にもとめる。
 
すると、患者はよろこんでデクノボウとなっていくのである。
 
こうして
肯定してくれるのは「負け犬でいい」と技法的に肯定している治療者だけで、その他の真実をいう人々からは肯定されない負け犬
という患者が阿坐部村から量産されていく。
 
治療者に否定されればされるほど、
患者たちは治療者に吸着していくのである。
 
治療者の立場から、
患者たちを吸着させるために存在否定することを、
塞翁療法では逆説的アプローチと呼び、
その技法を習得しようと、
リカモリ講座には患者が殺到しているというわけである。
 
殺到した時点で、その患者自身も
否定されるつどに吸着されていくというサイクルに入る。
 
ロシア青鯨の少年少女もまた、自分を否定されているのに、
どんどんその指導者の言いなりになっていくのである。
 
そして、
「この指導者のためには死んでもいい」
と思うようになり、
やがて華々しく高層ビルから飛び降りて死ぬ。
 
阿坐部村でも、
「塞翁先生のためなら死んでもいい」
と思っている患者は多いのにちがいない。
 
 
 
 
 
 
青鯨の指導者は、
自殺していく個々の少年少女の命の重さなど、
考えていないのだろう。
 
すでに、「人がひとり」存在しなくなる、
ということに、
あまりにも慣れっこになってしまっているからである。
 
私の患者村でも、
リカモリ制度への転換がはかられたときに
4名もの患者がたてつづけに自殺した(*5)が、
塞翁先生はそれを
 
「(制度をリカモリに)変えるって言ったら、
もう(患者たちは)阿鼻叫喚(あびきょうかん)」
 
などと話して、笑っておられた。
 
 
すると、塞翁先生が笑う所では自分も笑うもの
だと思っている側室・宦官系の患者たちが
何がおかしいのかも考えず、
そのままいっせいに笑うのである。
 
私は、それを見ていて、ぞっとした。
 
もちろん
「自殺はいけません」
などとポスターをつくってあちこちベタベタと貼ったくらいで
自殺という人間的現象が
なくなったり、減少するなどと考えるほど、
私もおめでたい人間ではない。
 
「いかなる場合も自殺は悪だ」
などと言い切るほど、
私自身、人道主義者でもない。
 
しかし、そこで治療者が笑ったからといって、
患者たちもみんな笑うか。
 
それは笑うところか。
 
何がおかしいのか。
 
死んでいった患者ひとりひとりにとっては、
かけがえのない人生だったのではないのか。
 
それを笑いにする治療者もどうかしているが、
治療者が笑ったからといって
笑う患者も完全にどうかしている。
 
社会的な事故において、
四名もの死者が出る場合は、
すでに全国ニュースでもあつかうほど
中規模の大事件であるはずである。
 
もちろん、死者は一名でも出てはいけないのだが、
四名となると、それはかなりの事件なのである。
 
ところが、「守秘義務」の原則がたくみに利用され、
そういう情報は院外へ出されないように、
患者は催眠をかけられ
言論は統制されるのである。
 
私のような患者が投稿する原稿は、
患者村の機関誌に載せることすら、しない。
 
自殺する患者たちには、だいたい家族がいないので、
家族が被害者遺族となって
塞翁先生を訴えるということはない。……
 
このロシア青鯨のリーダーも、
 
「お前の自己実現のために死んでいった
 少年少女の命の重さを何だと思っているんだ」
 
などと詰め寄ったところで、
鼻先で笑うことだろう。
 
すでに何かの前提が異なるのである。
 
ロシア青鯨は、
いちばんトップの指導者はすでに逮捕されたようだが、
模倣犯がつぎつぎとあらわれ、
スラヴ系の国々の少年少女の頭を
洗脳しつづけているらしい。
 
やがて、洗脳に弱い国、日本にも上陸し、
若年層の死因No.1の自殺をゲーム化して、
少年少女たちを取りこみ始めるのではないか。
 
そのときになって、
親子の絆の薄さをなげいたところで手遅れかもしれない。
 
 
インド 青い鯨 自殺ゲーム 青いクジラ 洗脳
 
 
#齊藤學被害 #精神医療被害 #精神療法被害
 
 
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    顔アイコン

    ぼそっと池井多さん、心身の安全のためにできるだけ早く塞翁クリニックから離れたほうが良いです。
    こんなことを言うのは差し出がましいと思いずっと控えていたのですが、あきらかに危険でネガティブなループにはまり込んでいらっしゃるようでとても心配です。
    良い医療機関を探すのが無理な状況だとしても、可もなく不可もなくといった所に避難するだけでもまだマシではないでしょうか。

    確かに成仏させられない思いは沢山おありでしょう。ですが、親や塞翁先生への恨みや怒りに留め置かれていると、昨日の記事でお話しされていたように人生の隘路から抜け出せなくなってしまいますし、ぼそっと池井多さんのように様々な資質をお持ちの方は、環境を変えれば残りの人生をもっと充実させることが十分可能だと思います。投資でいうところの損切りをして仕切り直すことも重要です。 削除

    hit***** ]

     

    2017/5/22(月) 午後 0:15

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  •     

    顔アイコン

    私自身も病んだ原家族文化から逃れられないと絶望したまま長すぎる年月を過ごしてしまいましたが、恨みや怒りにとらわれて不幸なままでいることこそ、親の思うツボです。親なんかさっさと忘れて自分が幸せになることこそ、一番のしっぺ返しになると思います。

    それに私たちはもう、若い人たちの心の拠り所になるような生き方をするべき年齢になってしまいました。経済的自立は無理だとしても、心の自立をしている先達として、範を示す時期が来ていると思うのです。心の自立ができないまま老醜を迎えている母親のようにはならないためにも。 削除

    hit***** ]

     

    2017/5/22(月) 午後 0:16

     返信する
  •     

    顔アイコン

    ぼそっと池井多さんが毎日多岐にわたり言葉にして表明する世界観というか精神観というか自己観というか
    精神医療観というか追っかけるだけでも大変ですが
    この人はぎりぎりのところで生きているんだなということが伝わってきます
    とっくの昔にあんぽんたんになってしまった亀にはコメントするのもはばかれますが
    これからも応援していきたいと思っています 削除

    ちゃらんぽらん亀 ]

     

    2017/5/22(月) 午後 5:46

     返信する
  •     

    hit*****さま コメントをどうもありがとうございます。

    深いご理解、まことに心にしみいります。

    新たに記事を立てて、お答えさせていただこうと思います。削除

    チームぼそっと

     

    2017/5/22(月) 午後 11:55

     返信する
  •     

    ちゃらんぽらん亀さま コメントをどうもありがとうございます。

    ちゃらんぽらん亀さんには、このVOSOTプロジェクトが始まった当初から、主旨に対してじつに深いご理解をたまわっております。

    あんぽんたんになってしまった」などと言いつつ、世界の深淵をのぞかせる言葉や作品をちらちらと垣間見させる多面的なところに、ちゃらんぽらん亀さんの真骨頂があると思っております。

    じつは私自身も、私を追いかけるのが大変なのですが、そんなぶざまな私をやわらかく、あたたかく見守ってくださる亀さんにあらためて感謝いたします。

    これからどのように展開していくか、私にもわかりませんが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 削除

    チームぼそっと

     

    2017/5/23(火) 午前 0:01

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