VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

いきなり年頃の娘の父になった私(1)

スパゲッティの惨劇(30)シチリアの娘」からのつづき・・・

by ぼそっと池井多
 
これは新しいシリーズの開始のように見えるが、
じつはずっと続いている対話を
新しいシリーズにのれん分けしたものである。
 
そもそも、その少女、マリアテレサは、
はじめ私が、あるSNSにおいて
私の精神医療の問題、すなわち塞翁教団との戦いを
つづっていたところへ、
イタリアから書き込みをしてくれた人であった。
 
当時、私は
ヨーロッパにおけるひきこもりの実態調査に乗り出しており、
その延長で、ひきこもりが多いといわれている
イタリアのひきこもり支援団体に、
ネット上で顔を売っていた。
 
そのため、イタリアから私へのアクセスが増え、
そのなかの一人にマリアテレサがいたのである。
 
卓越した知性と、精神医学への並々ならぬ知識から
私はてっきり彼女を
すでにインターンぐらいはやっている女子医大生かと思った。
 
日本の精神医療を外から眺めるためにも
彼女との対話は価値あるものと思ったので、
それを「外国のうつ・ひきこもり事情」のなかに
連載しはじめた。(*1)
 
 
しかし、対話を続けていくうちに、
私のほうに治療転移が起こってきて、
さいおうクリニックでは語れなかったことを
すべて彼女に吐き出すようになった。
 
となると、これは
私の幼少期の外傷体験を語る
「スパゲッティの惨劇」
というシリーズに編むのが妥当と思われ、
マリアテレサとの対話のとちゅうから
「スパゲッティの惨劇」に乗り入れた。(*2)
 
 
そのうちに、マリアテレサ
精神科医になろうと目指しているのは本当だとしても、
じつはまだ16歳の女子高生だと判明した。
 
彼女の実の父は、私と同じ齢だという。
 
やがて彼女は、私を父のように慕っていると告白し、
私も彼女のような娘が
遠く離れた地中海の島、シチリアにいるとなれば、
それはすばらしいと書いた。
 
ここに新しい父娘関係が成立した。
 
ここまでが、
いわゆる「前回までのあらすじ」である。
 
こうなると、このまま私の幼少期の外傷体験
「スパゲッティの惨劇」
へ続けていくのは不適切に思われ、
また、16歳という、難しいことこのうえない年齢の娘を
いきなり持つことになった私の記録は
また別の章を設けるべきだと考えられたため、
このたび
 
「いきなり年頃の娘の父になった私」
 
という新シリーズを始めさせていただいたというわけである。
 
 
マリアテレサ
あなたが年齢と脳について語ることを、
私は、いっしょに住んでいる両親を見て
如実に理解します。

私が彼らに何かを伝えようとするとき、
同じ文章、同じ言葉を
少なくとも数回は繰り返さなければなりません。

まるで彼らは私のいうことなんか聞いてない、
あるいは、
何か他のことを考えているのかもしれない、
と思っていました。

でも、あなたの話を聞くと、
どうやらうちの両親も、
必ずしもそういうわけではないようです。
脳がおとろえているのでしょう。

ときどき私は何回も
こちらが言いたいことを説明しなければなりません。
彼らが知らないような事柄となれば、なおさらです。

明らかに彼らは
無知やお馬鹿さんというわけではなさそうです。
やっぱり齢のせいなのでしょう。

ときには、私は何回も説明する忍耐力をもてず、
キレそうになることがありますが、
できるだけ彼らのペースに合わせるようにしています。

あなたは、ご自分の脳の衰えを感じるときに
「制限されている」と感じるといいました。

うちの両親も、目の前にあることを理解しようともがくとき、
同じように「制限されている」と感じているのでしょう。

f:id:Vosot:20190731001439p:plain

ともかく、私の父は、私を誇りに思っているようです。
私は父を愛していますし、
私を今日ある私にしてくれた父にも母にも感謝しています。

でも、それに加えて、
遠く離れた東洋の国に、
あなたという、まだ見ない新しい父を持つというのは、
なんとすてきなことでしょう。

しかも、そんじょそこらの生き方ではない、
無職で、ひきこもりで、生活保護で暮らしている
新しい父をアジアに持つことになるなんて、

なんて誇らしいことでしょう。

私は名誉に思います。
友達に自慢したくなっちゃいます。

私の新しいお父さんになってくれてありがとう。
いつの日か、ほんとうに会える時があるかしら。
もちろん、あなたが会いたいと思ってくれたら、ですけど。

Talking about age and the declination of brain, I can understand your situation because I experience it every day with my father and mother living together here. I realize that I often have to repeat a sentence or a word several times at least, as if they were not listening to me or thinking about anything else, but reading your statement about the feeling you have on your own declination of brain I got to know that is not the case. Their brain is also declined. Sometimes I have to explain what I say, maybe because I'm talking about something they are not very knowledgeable about, and so on. Obviously they are not stupid or ignorant, I know they are of a certain age. Although sometimes I do not have the patience to repeat or explain several times what I say, I always try to help them because I understand that, as you say, they may feel "limited" in the immediate understanding of some things. Anyway I think my dad is proud of me, I love him and in the end is also thanks to him and my mother if I am what I am today. In addition, the idea of having another father, who has a very unique life story in far-east country is so wonderful and it attracts me enough, especially when I think you are having a not-ordinary life, jobless, hikikomori, living on welfare. They are all sounding so privileging for me and it would be an honor, Mr. Ikeida. Thank you for being my new father in a far Asian country. I might be proud of you and all the facts related to you for all my friends. I wonder if one day I will have the opportunity to meet you personally, only if you would like, of course.
 
 
  •   

    ちゃらんぽらん亀さんが、ぼそっとプロジェクトの長い読者であることから、「痴漢だからっていばるな」というぼそっとさんの逆説のユーモアを理解され、洒落てると思うように、この異国の小娘は、「無職で、ひきこもりで、生活保護で暮らしている
    新しい父をアジアに持つことになるなんて、
    なんて誇らしいことでしょう。」
    とほんの少しぼそっとさんとネットでやり取りしただけで、もう悪びれずにユーモアとして語ることができるのですね。

    何という感応力でしょう。何という洞察力でしょう。そして、何という文才でしょう!

    人の心の中に入り込む能力は矢張り天才的で、彼女は精神科医としての資質を生まれながらにして持っているような気がします。 削除

    痴陶人 ]

     

    2017/6/17(土) 午前 8:19

     返信する
  •   

    顔アイコン

    呼び方はどうでもいいのだ。
    「親子でも恋人」でも如何でもいい。
    肝心なのは、忌憚無く何でも話せ、聞くことができ相手の言葉がお互い心地良ければ「それでいいのだ」。それこそ理想の関係であろう。 削除

    goodじいさん ]

     

    2017/6/17(土) 午前 8:54

     返信する
  •   

    痴陶人さま まさにおっしゃるとおり、
    マリアテレサの理解力はじつに鋭く、
    塞翁先生など足元にも及ばないところがあります。

    私は、
    たとえ無職、ひきこもり、精神科通院、生活保護でも

    「こんな生き方ではいけない。
    どこかで生き方を習わなくては」

    などとは考えませんし、
    もし本当に
    「こんな生き方ではいけない」
    と思うならば、
    自分で生き方を変えるしか解決はないと考えます。

    でも、そもそも
    自分で生き方を変えないということは、
    「こんな生き方ではいけない」
    などとは、本当には思っていないのです。

    私のマリアテレサへの一連の告白から、
    そのあたりの私の考えの中核を摂取し、
    こういうふうにスパイシーに文章にまぜこんでくるところなど
    まさに心憎いばかりの早熟な少女だと思います。

    男子校出身の私は、
    同じ齢ごろに少女という存在が周りにいなかったので、
    とりわけそういうふうに感じるのかもしれませんが。 削除

    チームぼそっと

     

    2017/6/17(土) 午前 10:37

     返信する
  •   

    goodじいさんさま コメントをどうもありがとうございます。

    たしかに呼び方などは
    何でもいいのかもしれませんが、
    塞翁先生の阿坐部村で
    長年、洗脳されてきた患者としましては、
    「父娘」と「恋人」では、
    大きなちがいが発生するように
    感じられてしまいます。

    この感じ方じたいが、
    精神医療機関でつちかわれた
    精神病理なのでしょうけれども。

    塞翁先生は
    「父娘近親姦」が特定の精神症状を呈することを
    反証を無視してまでも世に広めようと
    人生を賭けているところがある方です。

    それゆえに父娘近親姦をした女性患者は、
    私たちその他の患者より一段上におかれ、
    発言力も、権力も、とくべつに付与されます。 削除

    チームぼそっと

     

    2017/6/17(土) 午前 10:39

     返信する
  •   

    顔アイコン

    以前にも書いた記憶がありますがマリアテレサ嬢にとってぼそっとさんは自分の話を真剣に聴いたくれた初めての男の人で、彼女にとっては嬉しくて舞い上がるような真摯で素直な恋心を感じたのだと思います。
    とくに生活感を欠く夢見る16歳の乙女のMT嬢にとっては、相手が父親ほどの年上であっても無職で生活保護で暮らしていようがいまいがそんなことは問題ではなく、むしろ自分の知らない東洋の異国人でしかもひきこもりという変人は、彼女にとっては願っても無い白馬の王子様のような存在なのではないでしょうか。
    ともあれ素晴らしい恋愛だと思います、でも塞翁先生のような父娘近親姦を考えてはなりません。 削除

    迷えるオッサン

     

    2017/6/17(土) 午後 10:54

     返信する
  •   

    迷えるオッサンさま コメントをどうもありがとうございます。

    中高と男子校出身で、
    大人になってからも
    十代の少女とつきあったことも、
    淫行条例にひっかかるようなことも、
    まったくしたことがない
    私のような男よりも、
    高校の先生でいらした迷えるオッサンさんは、
    16歳の少女の心理を、
    よくわかっておられるのでしょうから、
    おそらくオッサンさんの言うことのほうが
    正しいのでしょうけれど、
    まったく私にはピンと来ないのですね。

    私だったら、
    40歳も年上の女性に恋する
    などということがあるだろうか、
    と考えこんでしまいます。

    まあ、私も十代のときに
    八千草薫さんはきれいだ
    と思ってましたけどね。 削除

    チームぼそっと

     

    2017/6/17(土) 午後 11:45

     返信する
  •   

    顔アイコン

    ぼそっとさん男と女は違います。
    男は40歳年上の女性には100%恋愛感情はもてませんが、女性は違いますーなぜなら男は70・80でも十分にセクスが可能だからです・・すみません高尚なブログに低劣なコメント御免なさい。 削除

    迷えるオッサン

     

    2017/6/18(日) 午前 0:24

     返信する
  •   

    迷えるオッサンさま いやいや、もともと低劣なブログなので、いっこうにかまいませんが、そういうものですかねえ。

    そういえば、迷えるオッサンさんの現地妻さんも、40歳ぐらい年下でしたっけ。それでうまく行っているわけですから、やっぱりそういうものですかねえ。 削除

    チームぼそっと

     

    2017/6/18(日) 午前 0:42

     返信する
  •   

    顔アイコン

    こんばんは。
    本当にマリアテレサ氏は「ヒロイン」と呼ぶに相応しい方ですね。
    ブログにも綴らせて頂きました。

    しかしこのコメント欄、URL直接貼れないのがつらい… 削除

    豚猫大好きぶーにゃん ]

     

    2017/6/19(月) 午後 11:08

     返信する
  •   

    豚猫大好きぶーにゃんさま コメントをどうもありがとうございます。

    それでは私があなたのブログのURLを
    ここに書いておきましょうか。

    ◆ 豚猫大好きぶーにゃんの社会的弱者研究所

    http://sgtyamabuunyan2nd.hatenadiary.jp/entry/2017/06/12/215826 削除

    チームぼそっと

     

    2017/6/19(月) 午後 11:32

All Right Reserved (C)VOSOT 2013-2020