VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

治療者と患者(186)オレサマ学会の仕組み

治療者と患者(185)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多
 
いまの日本、とくに都市部には
カウンセラーがあふれている。
 
右を向いても、左を向いても、カウンセラーである。
 
「じつは私、カウンセラーの資格を持ってて…」
 
という人ばかりである。
 
といわれて久しいが、そのうち
「一億総カウンセラー化」
と呼ばれる時代になるだろう。
 
そして、昨今では
心理・スピリチュアル・オカルト分野において
「学会」が乱立しているのである。
 
「雨後の筍(たけのこ)のように」
というよりも
「野原のセイタカアワダチソウのように」
見渡すかぎり一面に生えている印象である。
 
そして、きまって学会の名称の頭には
「日本」をつけたがる。
 
塞翁先生もそんな一人であって、
つい先日の土曜日、日曜日も、二日間にわたって、
 
「日本家族と子ども心理アドバイザー学会」(仮称)
 
という学会の定期総会があったようである。
 
ようするに、塞翁先生の「オレサマ学会」である。
 
他のメジャーな学会では相手にされないから、
自分の学会を立ち上げたということらしい。
 
なぜ、他のメジャーな学会で相手にされないか、というと
「学」会と名がつくかぎりは、
ほんとうは「学問」の体(てい)を
成していなければならないからである。
 
ところが、塞翁先生は
言っていることに客観性がない。
 
すべて「決めつけ」である。
 
しかも、その「決めつけ」は、
感情的に熱しているときは、
そのように思われる時もあるのだが、
冷静に検証すれば
ことごとくはずれている。
 
塞翁先生の主観世界の独演会に終わっては、
これは「学会」ではないのである。
 
塞翁先生は、自分の頭のなかにある
妄想や願望や感情が、
いつのまにか、そのまま「事実」になってしまう人である(*1)
 
 
 
たしかな実証が残っているのに、
それを無視して、
どんどん記憶が記録を上回っていく。
 
塞翁先生によって唱えられた学説への
「反例」は受け付けられない。
 
そこへもってきて、
陽性転移している患者たちが、
感情的に賛同してチヤホヤしてくれる。
 
そこに、まるで赤ちゃんをとりまく家族のような
集団的独我論がそだっていく。
 
ちょうど塞翁先生が幼いころ、
四人ものお姉さんたちが、
末っ子の塞翁先生に、
 
「そうだね、勉ちゃん、そうだね」
 
とチヤホヤしてくれた環境が再現される。
 
このように転移している患者、
自分の頭でモノが考えられない患者が
チヤホヤしてくれるものだから、
塞翁先生も、
 
「やっぱり自分の考えていることは事実だったのだ」
 
などと思いこむようになっていく。
 
それで、いい気になってしまう。
 
ところが、他の研究者、専門家たちは、
曲がりなりにも
学問の基本的な方法をわきまえている人たちであるから、
治療転移している患者といっしょになって、
 
「そうだね、塞翁先生、そうだね」
 
とは言ってくれない。
 
他の研究者、専門家は「外の社会の人」であり、
幼い塞翁先生をかわいがってくれたお姉さんたちとは
基本的なスタンスがちがうのである。
 
だから、一般の学会では
塞翁先生は通用しない。
 
塞翁療法も機能しない。
 
そこで、自分の学会をつくる。
 
「オレサマ学会」をつくる。
 
「学会ごっこ」「カウンセリングごっこ」に終始する。
 
いうなれば、
 
「日本 カウンセリングごっこ 子どもの学会」
 
なのである。
 
 
ただ、いくら「オレサマ学会」といっても、
一人だけではみじめであるし、
運営にはお金もかかるので、
観客をかきあつめなければならない。
 
転移している患者、
自分をチヤホヤしてくれる患者たちを
「にわか研究者」「にわか専門家」に仕立て上げ
 
「これに参加しないと、
 治療関係が疎遠になるぞ」
 
という危機感を
じわじわと患者村の中にかもしだしていくことによって
参加者をかきあつめる。
 
お金があるが、
自分の時間をどうやって使ってよいかわからない
そんな患者たちがあつまる。
 
真剣に自分の症状と向き合えば、
やるべきことは山ほどあるはずなのだが、
そういうことに目をそむけている患者たちがあつまる。
 
こうして二日間で一人12,000円もの入場料をとる。
 
金儲けの分野は、
娘であるワイエフエフ真子社長と
事業部長の岡村美玖の管轄である。
 
精神医療依存に漬けこまれている患者たちから、
この二人がしっかりと金をしぼり取る。
 
 
 
 
 
 
このように患者を、
「にわか研究者」「にわか専門家」に仕立て上げる装置が
リカモリング・アホバイザー制度である。
 
一日目の講演は、
リカモリング・アホバイザー制度に申し込んであれば
「1000円だけ安くなる」
ように設定してある。
 
このわずかな割引額によって
リカモリング・アホバイザーであるという地位から
いっしゅの「守られている感」と「特権意識」を
患者たちが心理的に持つように図られているのである。
 
1000円安くなっても8000円であり、
貧困層がほんらい払える金額ではない。
 
しかし、ひごろ
学歴コンプレックスを代表とする
人間的な劣等感にうちひしがれ、
自分の頭でモノが考えられない患者は、
この制度へ受講料60万円を払えば、
「研究者」「専門家」などと自称できるものだから、
こぞってその参加費を払う。
 
いくら「研究者」「専門家」などといっても、
人はしょせん自分の専門家にしか
なりえないのであるが、
そこまで自分の頭で深く考えることができない。
 
けっきょく、こういう時の1000円割引のために
その60倍の金額、
600,000円を払うのである。
 
 
 
 
・・・「治療者と患者(187)」へつづく

 

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