VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

外国のうつ・ひきこもり事情(61)シンガポール留学生の無垢な問い

シンガポール人だという、
大学1年生からコンタクトをいただいた。
京都の大学に留学していて、
「ひきこもり」に関するレポートを書くのだという。
 
以前から聞いてはいたが、
シンガポール英語というものは、
イギリス英語ともアメリカ英語ともまたちがう
独特な言い回しをするものだな、と思った。
 
言語フェチの私は、
そういうところが面白くて仕方がない。
 
たとえば、
 
「……のことを訊いてもよろしいでしょうか?」
 
とていねいに尋ねるとき、イギリス英語だと
 
Could I ask you ...., if you wouldn't mind?
 
アメリカ英語だと、
 
Can I ask you..., please?
 
というイメージが私にはある。
 
この学生(性別不明)は、
 
May I humbly ask you...?
 
と訊くのである。
 
日本語にも通じる、どこかアジア的な表現だと思った。
 
「つきましては、
 ひきこもりについていろいろ教えていただきたいので、
 東京へ会いに行ったら、
 インタビューに応じてくれますか」
 
と訊いてきた。
 
 
いいですよ。
 
でも、どういうことを私に質問したいの?」
 
と返信したところ、
質問リストとしてこんなものを送ってきた。
 
 
(1)ひきこもりになる理由

(2)日本社会がひきこもりの生成に与える原因

(3)ひきこもりの予防法

(4)ひきこもりの治療法
一読するなり、
私はプッと噴き出してしまった。
 
「これらがわかるなら、誰も苦労はしないよ。」
 
という質問ばかりである。
 
考えてみれば、
大学へ入りたての子の問題意識とは、
そういうものかもしれない。
 
いや、むしろ、そうでなくてはならない。
 
 
 
 
 
 
以前、一日だけ、5歳の子どもを預かったことがある。
 
私のような生き方をしている者が、
よそ様の子どもを丸一日預かるというのは
極めて異例だと思われるだろうが、
よんどころない事情により、
一日だけ預かることになったのである。
 
キャッキャと騒いで遊んでいたと思ったら、
とつぜんこんな問いを私に投げてきた。
 
 
ねえ、にんげんって、なんでしぬの?
 
 
私は仰天した。
 
答えがなかった。
 
もし私が何かの宗教を信じていたら、
その宗教にのっとって
一つの虚構を子どもの脳内にすりこんだことだろう。
 
しかし、私はへんなところで潔癖であって、
たとえ物心つかない子どもに対しても、
そういう手は使いたくなかった。
 
どう答えるべきか、内心ではウンウンと悩んだ。
 
子どもは、黙ってそんな私を見ている。
 
私はとうとう白旗を掲げることにした。
 
 
「なんでだろうね。
 
 おじさんも、わかんないよ」
 
 
 
すると、
 
「そっか」
 
と、その子はなぜか納得して、
また再びキャッキャと騒いで遊び始めたのであった。
 
あれだけ悩んだ自分がバカみたいに思えたが、
冷や汗をかいた数分であったことは確かだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今回、シンガポールの留学生に
ひきこもりに関する上記のような問いを突きつけられて、
「あの時と同じように」というと明らかに言いすぎであるが、
似たような感覚をおぼえた。
 
「なぜ人は死ぬのか」
 
というファンダメンタルな問いを子どもが持たなくなったら、
それはそれで
おしまいだと思う。
 
同じように、大学1年生という、
まだ大人とはいえない無邪気な若者が、
上記のような無邪気な問いを持たなくなったら、
やはり、それはそれで、
なにやらこの社会は、もうおしまいのような気がするのである。
 
 
私は、以下のような答えを用意した。
 
(1)ひきこもりになる理由

人それぞれですが、私は母子関係に原因があると思います。

よく社会に原因を求めるひきこもりがいますが、
同じ社会でひきこもりにならない人がいる以上、
説得力をもつ原因説とはいえません。

自らの家族問題から目をそむけたいときに
社会は格好な原因候補として浮上します。


(2)日本社会がひきこもりの生成に与える原因

ひきこもりは日本だけの現象でない以上、
日本社会がひきこもりの生成に与える原因をさぐることに
そもそも意義があるか疑問です。

むしろ「産業社会」などに主語に置き換えて、
課題を立て直してはいかがでしょうか。


(3)ひきこもりの予防法

原因がわからない現在、予防の方法は不明です。


(4)望ましいひきこもりの治療

ひきこもりは病名ではありません。
治療の対象なのかどうかをふくめて、
課題を立て直してはいかがでしょうか。


 
しかし、その後、なんとも言ってこなくなった。
 
私の方が気にかかり、
 
「東京へは、いつ来ますか」
 
とメールで訊いてみた。
 
すると、当初とは打って変わって、
そっけない返事が返ってきた。
 
「テューターに許可されなかったから、
やっぱり、やめます。」
 
上の者に許可されなかった?
 
なぜだろう。
 
私は解せないまま、この話は立ち切れとなった。
 
 
 
 
  •   

    こんにちは☆(いつもありがとうございます)
    ひきこもり問題について私も意見があるのですが
    記事を拝見しながらいつも思うことです
    きいていただけますか?

    まず、ひきこもりになる要素は私も持っているんです
    でも、そうならないように自分で予防しているのです
    それは、精神衛生上、努めて外出すること
    余程、天候の悪いとき以外は1日1回、平均2時間
    これを欠かすとだんだんマズイことになります
    外へ出るのが億劫になり、
    終いには相当の勇気が必要になったりw
    仕事がデスクワークなのでとりわけ気を使ってもいます

    別段、病的というわけではなく
    多くの人がそうだと思うのですが・・
    つまりは自己管理の欠落といった要素ですね
    そこを提起したいです 削除

    ジュピター *☆*

     

    2018/6/19(火) 午前 9:22

     返信する
  •   

    ジュピター *☆*さま コメントをどうもありがとうございます。

    数々のご忠言、感謝いたします。

    人それぞれ人生の来歴があり、生きるペースというものが確立してきたと考えられます。

    ひきこもりは多くの場合、自己管理の結果、ひきこもりになっていることが多いようです。 削除

    チームぼそっと

     

    2018/6/19(火) 午前 11:04

     返信する
  •   

    顔アイコン

    亀の娘が4~5歳のころ
    人間はどこからきてどこにいくの?って訊かれたことがあります
    あまりの不意打ちの問いに
    亀はう~んと唸って どこからきてどこに行くんだろうねと答えるしかありませんでした
    とても深い問いを素朴な好奇心のまま投げかけた娘も2児の母になっています
    亀は いまだに 人間はどこからきてどこにいくんだろうという問いに答えがだせません 削除

    ちゃらんぽらん亀 ]

     

    2018/6/19(火) 午後 4:34

     返信する
  •   

    ちゃらんぽらん亀さま コメントをどうもありがとうございます。

    そういう質問に答えるには右に出る者がいないと思われる亀さんでも答えられないのだから、私が答えられないで当然ですね。

    安心しました。 削除

    チームぼそっと

     

    2018/6/19(火) 午後 5:09

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