VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

外国のうつ・ひきこもり事情(102)バングラデシュのひきこもり<2>

 

by ぼそっと池井多
 

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イッポはこのどこかに住む
photo by Pixabay
 
ぼそっと池井多 きみは、ひきこもりから脱しようと
 格闘している、とさっき言っていたね。
 
 ご両親は、きみがひきこもりであることを
 とやかく言うのかい。
 親はきみを責める?
 
イッポ そりゃあ、とやかく言うし、責める責める。
 
 じっさいぼくの母はとても厳しい人なんだ。
 
 始まりにおいては、
 彼女はぼくのことをいっつも叱っていた。
 
 母は、ぼくが友達と遊ぶために出かけることを許さなかった。
 
 だからぼくは、自分を部屋に自己監禁するようになったのさ。
 
 いまだに母は、ぼくが友達と出かけることを許さない。
 
 とくに家から離れて遠くへ行くことを許さない。
 
 そうこうしているうちに、
 ぼくはひきこもりになったってわけだ。
 
ぼそっと池井多 なるほどー。
 
 お父さんは何て言ってる?
 
イッポ ぼくの父はいつもぼくに優しいよ。
 
 父は、ぼくが何かしようとすることを止めたためしがない。
 
 父は、いつもぼくにやる気を起こさせてくれる。
 
ぼそっと池井多 なんだか、うちと似てるなあ。
 
 私の両親も、母が厳しいというか、
 どちらかというと虐待的で、
 父はそんなでもなかったんだよ。
 
 きみの家族は社会的にどんな感じ?
 きみの国のなかで、きみの家は
 富裕層、中流下流貧困層と分けると、
 どのくらいに位置する?
 
イッポ うちは中流だなあ。
 
ぼそっと池井多 バングラデシュでは中流家庭の子どもは
 ひきこもりになるのはふつうだと思うかい。
 
イッポ うーん、「ふつう」というか……
 それは十分にありうることだと思う。
 
ぼそっと池井多 きみがひきこもりとして生きていくことに
 経済的な問題はあるかい。
 たとえば、きみのお母さんが、
 きみが稼いでこないことに不満を鳴らしているとか。
 
イッポ いや、そういうことは、うちの母は言わない。
 
 ぼくは今はもう、外へ出ていくこと自体がこわいんだ。
 ぼくはいつも誰かがぼくを尾けている気がする。
 あるいは、誰かがいつも
 ぼくのことを悪く言っている気がする。
 それでぼくは神経質になってる。
 
 それから、広場なんかに
 ぼくは長い時間立っていることができない。
 
ぼそっと池井多 なるほど。
 それはつらいだろうね。
 
 そういう感覚は、少しだけわかるよ。
 私もときどき、そんな感じになることがあるからね。

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ぼそっと池井多 私は日本で生活保護で生きているんだけど、
 きみの国で、最低限の生活が保障されるような
 そういう制度で生きていくことは可能かい。
 
イッポ 可能ではないね。
 ぼくたちの国では、それは想像できない。
   ぼくたち若者は、仕事が見つからなくて困っているんだ。
 
   ぼくたちの国は小さい。
 でもぼくたちは人口がでかい。
 
 人口の多さに比して、会社などの就職機会がなさすぎる。
 
 さらに悪いことには、
 ぼくたちは職がない状態であっても、
 政府から経済的な支援を受けることなってできないんだ。
 
ぼそっと池井多 じゃあ、きみはどうやって生きているの。
 両親のお金?
 
イッポ そうだよ。
 金額的にもものすごく小さいけどね。
 
 いずれ仕事を持ったら、
 いま持っている経済的な悩みはなくなると期待してる。
 
ぼそっと池井多 きみは兄弟姉妹は。
 
イッポ 弟が1人いる。
 
ぼそっと池井多 弟さんは外で働いているの。
 
イッポ いや、彼も無職だ。
 
 でも、彼はぼくとちがう。
 彼は外へ出ていくのに何の問題もない。
 性格もきわめて社交的なんだ。
 
ぼそっと池井多 ということは、
 中流階級であるきみの家のなかで
 収入があるのはお父さんだけかい。
 
イッポ そうだよ。
 
ぼそっと池井多 すべてのひきこもりは、
 それぞれちがう環境に生きているものだね。
 でも、なにかしら共通点があるものであって、
 それを見つけるのはとても面白い作業だ。
 
イッポ そうだね。
 
ぼそっと池井多 たとえば、きみは
 外に出かけなくてはならないときの不安について
 私に語ってくれた。
 
 そういう感覚って、世界中すべてのひきこもりが
 多かれ少なかれ持っているもののような気がする。
 
イッポ そうだと思う。
 それはひきこもりの共通項だ。
 
ぼそっと池井多 きみは18歳でひきこもりになった、といった。
 それ以前は、学校へ行ったりするのに
 まったく何も問題はなかったの?
 
イッポ なかったね。
 18歳以前はすべてが順調だった。
 
ぼそっと池井多 へえ、それはある意味、面白いね。
 
 
 
 
 
 
・・・「外国のうつ・ひきこもり事情(103)」へつづく

 

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