VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

貧困と人づきあい(80) 東京のひきこもり、沖縄を歩く<12> 沖縄のひきこもり当事者タイキさんとの対話(8)発達障害の診断を受けるという意味

貧困と人づきあい(79)」からのつづき・・・ 

by ぼそっと池井多
 
 
ぼそっと池井多 さきほど、東日本大震災のあと、
うつの調子がよくなったので、
福島の除染作業に出稼ぎに行った、
みたいなことをおっしゃってましたね。
 
どうでしたか、そういう社会的に立派なお仕事をしてみて。
 
タイキ そうですね、あれは2013年ごろのことでした。
でも、除染作業といっても、
それを管理する事務の作業が多いんですよ。
 
ぼくは、その事務の作業をしていた時に、
めっちゃ上司に怒られました。
上司から見たら簡単なことでも、ぼくはできないものだから。
 
休みの日に、宿舎でテレビを見ていたんです。
そうしたら発達障害の特集をやっていて、ぼくは
 
「これは自分のことをやっている」
 
と思いました。
 
そこで上司に、
 
「自分は発達障害の疑いがあるから、
これ以上ここで仕事をしていたら、
ご迷惑をかけるから、この仕事やめます」
 
といって、沖縄に帰ってきました。
 
それで、
発達障害、診断します」
みたいな広告を出している
精神医療機関那覇市首里に見つかったので、
そこへ行ったところ、
と診断されたのです。
 
これで、ようやく自分が心から信頼できる先生と出会えました。
 
発達障害自閉症スペクトラムの特徴として困ることは、
たとえば、できもしないのに約束をしてしまったり、
口から出まかせを言ったり、
言ってはいけないことを言ってしまったり
ということがあります。
 
自分としては「言ったつもりがない」んだけど、
相手にしてみると
「ちょっと、なに言っちゃっているの」
みたいなことを、平気で言っちゃう。
 
あとはモノが片づけられない大切なものをなくしたりする。
 
これみんな、ぼくにあてはまるんです。
 
うつ病の診断の時もそうだったんですけど、
発達障害の診断を受けて、
ぼくは逆にすがすがしくなったんです。
そのとき見ている景色さえクリアに見えたほど。
 
診断を受けると、
「あ、自分はうつ病だったんだ」
発達障害だったんだ」
という安心感が得られる。
 
それは、
「これで、大手を振って生きていける」
という感覚なんです。
 
ぼそっと池井多 その感覚は私もわかりますが、
それをいうと誤解されて攻撃されることもありますよね。
 
人並みよりも保護してもらうために
病気を演じているんじゃないか、
とか勘繰る人が出てきます。
 
タイキ そうですね。
だから、ほんらい信頼できる人にしか言えません。
 
ぼそっと池井多 私も障害者手帳持ってますけど、
それを振りかざすようになってしまっては、
人間オシマイだと思っています。
 
タイキ そうですね。
何か失敗をやってしまって、落ちこむ前に
「自分は発達障害からしょうがないんだ」
と思えればいいんだけど、
「わたしは発達障害だから」ということを、
これから迷惑をかける言い訳みたいに
ふりかざすようになっちゃダメですよね。
 
そこが自分でも葛藤している点なんですが、こう考えてます。
 
障害っていうのは、
根底からエラー起こしている状態だから、
受け容れなくちゃいけない。
 
病気っていうのは、
根底はエラーがなくて、
あとからエラー起こしている。
だから治る。
 
 

 
編集後記
 
by ぼそっと池井多
 
できもしないのに約束をしてしまったり、
口から出まかせを言ったり、
言ってはいけないことを言ってしまったり。
 
自分としては「言ったつもりがない」んだけど、
相手にしてみると
「ちょっと、なに言っちゃっているの」
みたいなことを、平気で言っちゃう。
 
タイキくんは、これらを
発達障害の」特徴として挙げている。
 
しかし、それだけでは誤解が生じる可能性もあると思い、
いささか補足しておきたい。
 
たとえば、私の人生ですれちがった人々を考えると、
私の母も、
塞翁先生も、
あるいは塞翁先生の娘、真子社長も
上記二つの点はあてはまる。
 
あるいは、今ひきこもり大陸で交流している
何人かのナルシスティックな当事者たちにも
あてはまる時がある。
 
タイキくんの挙げた上記二つの特徴は、
いうなれば、
「発言責任を取らない」
ということである。
 
自分の言ったことの責任を取らない。
結果を考えないで、思考よりも言葉が先に出てしまう。
 
20代前半までの私もそうだった。
 
それは、たんに人間として未熟であり、
人格として統合されていない、
ということではないのだろうか。
 
境界性パーソナリティー
自己愛性パーソナリティー
分類される代表的特徴のようにも思われる。
 
しかし、発達障害はいまやブームの診断名であるし、
「なんとか障害」と名がつく診断名が
二つ以上重複して付与されることは大いにあるだろう。
 
だから、タイキ君の言っていることが
まちがっているとは思わないが、
そこは注意を要すると思った。
 
 
 
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