VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

やっぱり今日もひきこもる私(89)ひきこもりが取材を受けるとはどういうことか ~ 内閣府の中高年ひきこもり調査の発表近し

どうやら明後日(3月29日)あたり
内閣府から中高年のひきこもりに関する実態調査の
結果(中間報告?)が発表されるとかで、
マスコミがざわついている。
 
それで、昨日は
私のような者のところへも
メディアからの取材申し込みが相次いだ。
 
取材のたびに、ひきこもり部屋から出て、
最寄りの駅近くのカフェかどこかへ出かけていくのは、
ひきこもりの私からすると大変である。
 
おまけに私は貧困層で、
家賃の安さを見込んで、
駅から遠いボロアパートに住んでいるので、
 
「散歩がてらに最寄りの駅までふらっと出ていく」
 
というわけには、なかなかいかない。
 
やはり、出かけていくとなると、
たとえばサンダル履きで、
近所の電信柱にあるゴミ捨て場に燃えるゴミを捨てにいく格好で
出かけていくようなわけにいかず、
しっかり靴を履いて、財布を持って……と
ようするに「ちゃんとしたお出かけ」にならざるをえない。
 
その分だけ外出のハードルが高まるのである。
 
だから、私はメディアの皆さんには
私がひきこもり部屋から出ることなしに
取材をお受けできないか、と持ちかける。
 
そこで、私にとってもっとも好ましいのがメールである。
 
これでも、このぼそっとプロジェクトひきポスなどに
記事を書いているから、
自分の考えを申し述べるのに文章を用いることには、
比較的に慣れている。
 
ところが、プロの記者さんたちは、
私にそういう表現方法を、
あまり使わせてくれない。
 
なんと、記者さんたちはメール取材を嫌うのである。
 
記者さんたちが書く新聞や雑誌の記事の中でも、
どうせ私の言葉が書かれるのであれば、
こちらが初めから言葉にしてメールで送るのが
記者さんの手間暇も省けていちばん良いじゃないか、
と思うのだが、
どうやらそれでは記者魂が充たされないらしいのである。
 
すなわち、
 
「他人(ひと)が書いた文章を
そのまま自分の署名をつけて記事として出すんじゃあ、
記者として名折れだぜ」
 
とか何とか思っているらしいのである。
 
どうしても、私の生声を聞いて、
それをメモして、
自分の言葉で記事を書きたいらしい。
 
そんなこんなの事情があるので、
もし私が最寄りの駅まで出かけていって、
対面取材を受けるのはいやだ、
ということになれば、
記者さんたちが次に提示してくる手段が「電話」である。
 
電話で私がしゃべったことを
記者さんたち自身の言葉で言語にして記事にしたい、
という運びになるのである。

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ところがここで、私は
無類の電話嫌いと来ている。
 
若い頃から、電話が嫌いである。
 
これは、私に限ったことではなく、
ひきこもり全般に言えることのようである。
 
先日も、才能あふれる若きひきこもり、喜久井ヤシンが
電話嫌いを論じる記事をひきポスに出していた。(*1)
 
*1.『「電話恐怖症」との全力の戦い』
by 喜久井ヤシン  Hikipos 2019.03.14
 
 
ここに書かれていることは、
おそらく「ふつうの人」からすると
狂気の沙汰に思うかもしれないが、
私からすると、まったくおかしな話ではない。
 
些末なディテールがちがうだけで、
やっていることは私も同じである。
 
喜久井ヤシンは、
電話に立ち向かうためにラフマニノフを聴くようだが、
私の場合、これがショスタコーヴィチになるくらいである。
 
同じ時代のロシアということで、
きっと何か底辺に共通項があるのにちがいない。
 
ともかく、私は取材を電話で受けたくない。
 
したがって、
なんとかメールと電話の中間をとって
ハングアウトでならお受けしましょう、
という結論になる。
 
ハングアウトとは、
グーグルが提供しているコミュニケーション・サービスで、
スカイプみたいなものである。
 
パソコンに向かい合いながら、相手と会話できる。
電話機を耳にあてなくてもよく、
テキストや図を示しながら会話できるのもよい。
 
私の場合、過去に言葉にまとめた記事を
その場でご紹介しながら
お話しできるのがありがたいのである。
 
私はパソコンにウェブカメラをつけていないから、
会話の相手の方は
私の呑んだくれた顔や
ひきこもり部屋の内部を見ることはない。
 
このハングアウトによって
昨日はメディアから取材が相次いだわけだが、
ほぼ2時間に1本、アポイントメントが入っていって、
最終が22:00の某大新聞であった。
 
ほんとうはもう一つの大新聞が
そのあと23:00からの時間帯を予約しそうになったが、
さすがにこれは翌日以降に持ち越された。
 
あまり遅い時間に取材すると、
朝刊までに文章にならない、
といった事情が記者さんの側にあるのではないか。
 
ひきこもり部屋に居ながらにして
たくさんの取材を受けるとなると、
どうしても必然的に、
いっぺんに多くの取材を片づける、
という芸当はできない。
 
それはつまり、こういうことである。
 
たとえば、問題発言をしでかした政治家が
国会議事堂から出てきたところを取り囲む報道陣。
 
あるいは、薬物問題を引き起こした芸能人の
愛人にぶらさがる報道陣。
 
あんな感じで、
私を取り囲むなり、ぶらさがってくれれば、
私も一回ですべての取材を終えることができるのだが、
なんのことはない、
当の私がひきこもりで部屋から出てこないのでは、
報道陣としても、
取り囲むことも、ぶら下がることもできない。
 
だから、昨日のような「事件」のある日は、
ひきこもりである私は、
なんだかんだと一日中パソコンに向かってぶつぶつと
メディア向けの言葉をしゃべりつづけ、
一社ずつ取材を受けることになる。
 
同じことを各社にしゃべっている。
 
そりゃ、そうだよね。
 
各社ごとに言うことがちがっていたら、
いったいその被取材者は何だ、
ということになる。
 
二枚舌どころか多枚舌の精神科医塞翁先生になってしまう。
ああなったら人間、オシマイだ。……
 
でも、一社ずつ同じことを何回もしゃべっていると
ふと「無駄だなあ」と感じる瞬間がある。
 
そして、疲れをおぼえる。
 
こうして、すべての取材が終了すると
また私はそのまま傍らに敷いてある布団の中へ
すぐに直行するのである。
 
 
  •   

    長野のひきこもりさま コメントをどうもありがとうございます。

    Hikikomoriが祖国に迫害されるロシア農民の血を引いているかどうか、DNA検査でもしてみないとわかりませんが、ラフマニノフショスタコーヴィチストラヴィンスキーあたりが好きなひきこもりって、けっこう良く聞きます。

    20世紀前半、ロシアが血塗られた時代の音楽に、暗い渦を心の中に宿す喜久井ヤシンや私がはまるのは、ある意味、合点がいくような気もいたします。

    ご声援ありがとうございます。長野にも、機会があればお邪魔いたしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 削除

    チームぼそっと

     

    2019/3/28(木) 午前 0:18

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  •   

    長野県のひきこもりさま ご再訪ありがとうございます。

    戸隠、蓼科、開田…などなど、蕎麦喰いが喉を鳴らすような土地までわざわざ行って、駅ホームの安い立ち食いそばを喰って帰ってくる、というのもなかなか侘しくていいかもしれません。 削除

    チームぼそっと

     

    2019/3/28(木) 午後 10:15

 
 
 
 
 
 
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