VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

貧困と人づきあい(83)「働き方改革」の真実

しゃべれない男たちの叫び(25)

貧困と人づきあい(82)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多
 
aon*_*85 :
うちの会社でも「働き方改革」の掛け声が大きく、
改革の担当役員が先月に私の事業部に
取り組みの説明に来た際も、

「皆さんがもっともっと
たくさんお仕事に取り組みたいというお気持ちは
十二分に感じています。

しかし法律は法律です。

そこは考慮してきちんと残業時間の上限は守りましょう。」

というご説明でした。

「長時間の仕事はしたくない」
という人の存在は無いかのように。(笑)

実際、仕事もできる優秀なメンバーが、
長時間残業をいとわずにどんどんと物事を進めてゆく。

そこまでやられてしまうと、
周りのこちらも頑張らざる得ないのですが、
何を基準にどこに線引きをしたらよいのやら。

「私にはそこまでのモチベーションは維持できません」
というのが、近いところだと思います。

しかし、そうやって
自分が少しずつ「お荷物」になっていくのも、辛いものです。
 
 
ぼそっと池井多
 
aon*_*85さま コメントをどうもありがとうございます。
 
働き方改革」をめぐる生々しい現場のお話ですね。
 
私のような「働いていない」者にとっては
なにやら知らない異国の話を聞くようで
たいへん面白いです。
 
いっぽうでは、
「働いていないひきこもり」といっても、
あちこちから風のように
社会で「働いている」人たちの話は伝わってくるもので、
そういった話を聞くたびに
メディアの表では光が当てられていない角度で
働き方改革って何だろう?」
と考えさせられることはあります。
 
よく聞くのが、
たとえば、「働き方改革」によって、
会社に残って残業をしていると
会社の責任ということになる世の中になったから、
多くの人が家にこっそり仕事を持ち帰って
「超サービス残業」をしているという実態です。
 
こういう人たちが、
たとえば 連休中にしっかり自宅で仕事をしてきて、
aon*_*85 さんのような方を
水面下で圧迫しているかもしれませんね。
 
サービス残業は、残業手当が出ず、無償ではありますが、
まだしも空間的に会社の中に残っていることで、
その時間「働いていた」ことが会社に認知されますから、
少なくとも「認知」という形で報酬を受けられます。
 
しかし、「超サービス残業」は、
無償どころか、認知という形の報酬すら受けられない。
 
ただひたすら労働力を奉仕提供するパターンだといえるでしょう。
 
しょせん法整備で終わっている「働き方改革」では
何ともすることはできません。
 
ところが、私のような者から見ると、
もっとも「超サービス残業」をやっているのは誰か
ということになると、
それはじつは「働いてない」ということにされている
私のようなひきこもりではないか、
と思われるのです。
 
そして、それは
なにも私一人がひきこもり人口の中で特異な存在だというわけでなく、
私の周辺にいる、当事者活動をやっているひきこもりたち、
全般に言えることなのであります。
 
なかには喰う物も喰わないで、
日夜、自部屋で働き過ぎて、
げっそり痩せてしまったひきこもりもいます。
 
私たちのような輩は、
このような発信をしたり取材に応じたり
と、膨大な作業量を日々こなしているわけですが、
経済的に「無償」であるばかりか、
それが「会社に認知される」ということもありません。
 
私が繰り返し申し上げることなのですが、
「ひきこもりは忙しい」
のであります。
 
つねに「やるべきこと」は目の前に山積みです。
 
「ひきこもりは働いてない。
怠けている。
税金泥棒である」
 
という通俗的な偏見とはまったく逆で、
実態は、「働き方改革」の対象ともならないひきこもりほど、
無償・無報酬で働いている人々を知りません。
 
ひきこもりは、
やっている労働がすべて100%、
サービス残業なのであります。
 
 
aon*_*85 さんのように、
社会的に働いている職場でモチベーションも維持できず、
職場のお荷物になっていくような圧迫にさいなまれる方々がいる一方では、
働き方改革」の及ばない無法地帯で
過労死予備軍になっている「働いていない人」たちがいる。
 
どちらも人間的な真実ですね。
 
こういう現象はどのように包括できるのでしょう。
 
そして、それはどこかで
幸福とは何か
の問題につながるものだろう、と思っております。
 
 
 
 ・・・「貧困と人づきあい(84)」へつづく
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