VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

当事者活動を考える(33)ひきこもりの父親として~カズさんの場合<3>

当事者活動を考える(32)」からのつづき・・・
by ぼそっと池井多
 
 
ぼそっと池井多 (ひきこもりの息子さんと)
ラーメンを食べに行きながら、
どんな話をされたんですか。
 
カズ 何も話しません。
無言ですよ、行きも帰りも。
 
無言ですけれども、行ってました。
 
ぼそっと池井多 今も、息子さんは
口数が少ないですか?
 
カズ いいえ、口数は少なくないですね。
どっちかというと、友達も多かったですし、
非常に明るい社交的な性格でした。
 
ただ、すごく真面目で、高校受験の時も、
「この高校に受からなくちゃいけない」
というプレッシャーで、
一生懸命、勉強すればするほど結果が出なかったのです。
 
真面目な所はありますが、
口数が少ないとか、
人と上手く接することが出来ないことはないですね。
 
ぼそっと池井多 ご次男もいらっしゃる訳ですよね。
ご兄弟同士の関係はいかがですか。
 
カズ 男の子同士ですので、
あまり一緒に仲良くしている感じはありませんけれども、
長男がひきこもっていた時は、
次男もそうとう我慢していたみたいで、
 
ときどき、次男も調子が悪くなって、
学校へ行かなかったことはあったようですが、
それ以上はありませんでした。
 
ぼそっと池井多 この公開対論は、
親の立場の言い分や怒りなどを、
当事者、子供の立場である私に、
壇上でぶつけていただく趣旨から始まっています。
 
カズさんの場合、すでに息子さんが社会人なので、
そういうことは少ないかも知れませんが、
どうですか?
親の立場から、当事者にぶつけたい本音はありませんか?
 
カズ 私はいろいろな家族会でお話を聴くんですが、
ひきこもりを経験した方がよく言うのは、
「親は自分の人生を楽しんでほしい、
その方が子どもが楽になる」
という言葉です。
 
でも、それってほぼ不可能なんですよ。
ひきこもって苦しんでいる子どもを真の当たりにして、
親が自分の人生を楽しんで、
子供から少し距離を置いた方がいいと言うのは。
 
逆にどうですか?
子どもから、親御さんにそうして欲しいというのはありますか?
 
ぼそっと池井多 私はカズさんから別の理由から、
「親は自分の人生を楽しんでください」
という、ひきこもり支援の界隈で教科書的に言われる言葉には
反対なんですね。
 
私の母親は、すごく自分の人生を楽しんでいるんですよ。
享楽的に遊び暮らして楽しんでいるのではなく、
一種のワーカホリックですけどね。
 
今日は、
私の個人的な履歴をお話しする時間がありませんでしたが、
とにかく教育圧力の高い母親で、
学習塾を経営してました。
 
サラリーマンの父親の、
だいたい3倍ぐらいの収入があって、
自分の自己実現ばかり。
 
私という長男や、父親という夫、
そして弟とかも、
どうも母親の自己実現の肥やしにされてる感じがありまして。
 
私が母親に言いたいのは、
「自分の人生ばっかり楽しんでんじゃないよ。
犠牲になっているぼくをもっと見てよ」
ということですね、
 
なので、ひきこもり問題の周辺で言われる、
「親は親の人生を楽しんでください」
という言葉は、カズさんと違う意味で違和感を感じています。
 
 
 ・・・「当事者活動を考える(34)」へつづく
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