VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

やっぱり今日もひきこもる私(269)練馬ひきこもり長男刺殺事件から一年

by ぼそっと池井多

 

昨年の今ごろは、「ひきこもり」という語をめぐって日本中が揺れに揺れていた。

まず5月28日に、中高年のひきこもりだったと思われる岩崎容疑者(本人死亡につき不起訴)による川崎殺傷事件(*1)が起こり、それを受けて「ひきこもりは犯罪者予備軍である」とメディアが喧伝した。

 

*1. 「登戸は、川崎市の中央部ではないので誤解を招く」などの理由により、(川崎市登戸通り魔事件と呼称するのが一般的になってきているが、HIKIPOSで一年前に特集したときに使った名称と統一するため、本記事においても「川崎殺傷事件」または「川崎事件」と呼称させていただく。

 

そこで昨年は、この川崎殺傷事件にショックを受けたひきこもりたちがこぞって思う所をHIKIPOSに発表した。

その数、八本。

そこで今年も、川崎事件から一年経った、5月から6月にかけてのころに、多くのひきこもり当事者が何か発表するかと期待していたのだが、どうやら今年は記事を書いたのは私だけで、他に一本も出なかった。

 

ちなみに、私が出した記事はこちら。

www.hikipos.info

 

なぜ、他のひきこもりたちはもう何も言わないか。

これはやはり、

「今はコロナで、それどころではない」

ということだろうか。

 

また、世の中の移り変わりが次第に早くなっているから、「一年前の出来事をふりかえる」などというのは、しょせん「昭和のオヤジ」の感覚であり、最近の若い人たちにとっては、一年前のことなどもう過去として忘れ去られている対象なのかもしれない。

 

さらに、いまやコロナで、ひきこもりでない、一般市民の皆さんも家でひきこもりになっていなければならなかったわけで、そのような時に

「ひきこもりは犯罪者予備軍である」

となどと言ったら、けっきょく刃を自分に向けることになる。

そんなことも関係して、もう今さら誰も昨年のこの時期の

「ひきこもりは犯罪者予備軍である」論争

ともいうべきものを掘り返そうとしないのかもしれない。

 

 

そして、今日6月1日は練馬ひきこもり長男刺殺事件から一年である。

 

じつは私は昨年末、一審の判決が出たときに、元農水次官の熊澤被告宛に一通の手紙をしたためた。

彼が刑務所に収監されたら刑務所宛に出そうと思っていたのだが、予想をうらぎって彼は控訴し、ふたたびこの案件は係争中になってしまったので、手紙は出していない。死蔵してある。

係争中であるために事件の評価も定まらず、どことなく宙ぶらりんの感がある一年後である。

 

 

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