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やっぱり今日もひきこもる私(325)ドラマ「こもりびと」今夜放送。

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by ぼそっと池井多

 

ひきポス(HIKIPOS)が監修に関わった、松山ケンイチさん主演のひきこもりに関するドラマ「こもりびと」が今夜、2020年11月22日21:00からNHK総合で放送される。

 

www3.nhk.or.jp

 

これには、ひきポスは監修だけでなく、なんと執筆・編集メンバーが俳優として出演もしているということなのである。

 

なぜ、ここで「ということなのである」と伝聞調かというと、私自身は関わっていないからだ。

 

じつは、11月中旬から12月初旬にかけて、NHK地上波では総合・Eテレともに「ひきこもり」をテーマとする番組を一挙に19本も放送する、いわば「NHKひきこもり祭」を挙行する。

そこで私は、12月5日や8日に放送するEテレの番組に出させていただくため、おそらく

「一般人があまり多くの同局の番組に出てはいけない」

という不文律から、このドラマ「こもりびと」の制作からは初期の段階から外されたのであった。

 

NHKひきこもり祭」は、当初は6月に予定されていたが、コロナ禍で延期されてこの時期というわけである。

そのため、たしか1月ごろだったと思うが、ひきポスの編集会議にNHKのディレクターたちがやってきて、このお話があった時から私ははずしてドラマ制作を進行する、ということがNHKサイドの方針として決まっていた。

 

コロナ禍が始まる前は、私たちはひきポス編集会議のあと、近所のファミレスか居酒屋へ移動して「アフター」を楽しむのが習慣であった。

そのアフターにおけるファミレスのテーブルが、そのときは同一店内のあちらとこちら、2か所に分けられ、そのうち1か所には、石崎森人編集長をはじめとする、ドラマ制作に関わるひきポス関係者が集められた。

そして、そこから離れたもう1か所は、私をふくむ、ドラマに関わらないひきポス関係者が残されてかたまった。

 

遠目に眺める、彼らのテーブルは異様であった。

いつもは知った当事者仲間が、NHKの連れてきた脚本家などと熱心に語らっていた。

 

こうしてドラマの制作は、同じひきポス編集部の中でも、関わらない私のような者たちのグループには、いっさい情報が漏らされない形で進行したのである。

だから、私は放送日の今日になっても、ドラマの内容については一般向けに公表されていることしか知らない。

 

 

 

 

このドラマはNHKスペシャルという、いつもはルポルタージュなどのジャーナリズムをあつかう番組枠で放送される。

そのこと自体、異例なことである。

 

どうやらこれは、制作陣が悩みに悩んだ結果らしい。

ひきこもりをジャーナリスティックに追いかけようとすると、どうしてもひきこもり当事者の部屋の中までカメラを入れて、生活を映しとらなくてはならない。

家庭で親子のコミュニケーションが行われていない様子も、撮影しなければならなくなる。

 

しかし、そのような撮影収録を許可するひきこもり当事者は、まずいない。

すると、ひきこもりの世界は従来のジャーナリズムの手法では、永久に描けない領域の現象ということになるのである。

 

そこで、ドラマとして、フィクションとして描くということが考えられるわけだが、そのようにして今まで制作されてきた過去のひきこもり関連のドラマは、

「あんなの、ひきこもりじゃない」

「リアリティがない」

というひきこもり当事者たちからの批判を喰らってきた。

 

ドラマの脚本家の想像力では、ほんとうのひきこもり者たちの生活は描き切れないのであった。

 

そこで今回、ドラマ制作班が私たちひきポスに白羽の矢を立ててくれたという次第である。

ひきこもり当事者たちが書いている手記に基づいてドラマを作り、さらに制作過程においてもひきこもり当事者たちが事実を考証すれば、できあがった作品がひきこもりの実態からかけ離れる心配はない、と踏んだのだった。

 

脚本家のみならず、主演の松山ケンイチさんも、私たちの発行する冊子版ひきポスを全部読んでくれた。

そして、こう言っている。

「『ひきポス』はみなさんにもぜひ読んでほしいですけど、読み物としてすごく面白いんですよね。立場が違う自分には共感できないかなと思ったんですけど、まったくそんなことない。むしろ共感しかなかった」(*1)

 

*1. BuzzFeed 2020.11.20  太字は引用者

www.buzzfeed.com

 

こうして完成したドラマ「こもりびと」。

はたして、どれほどひきこもりに関してリアリティがあるのか、私も一人の視聴者として拝見することにしよう。

 

 

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