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やっぱり今日もひきこもる私(346)カルフーン実験が物語るもの

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カルフーンの作った実験用ネズミの小宇宙 by Wikimedia

 

by ぼそっと池井多

 

今日、ひきポスに日・英・仏の3ヵ国語版で

ひきこもりは太古の昔からいた? カルフーンの動物実験が明かす衝撃の可能性

というタイトルの記事を出させていただいた。

 

www.hikipos.info

 

詳しい内容はそちらの記事を読んでいただいた方がよいのだが、ようするに、カルフーンという動物行動学者が実験用のネズミたちにとって「食うのに困らない」恵まれた環境をつくり、そこでネズミたちがどのように暮らしていくかを調べたところ、一定数はひきこもりになることがわかった、というものである。

 

ここまでは、厳密に条件を設定しておこなった科学実験であるから、事実と言い切っていいだろう。

しかし、さてこの事実が何を物語るか、というその先の領域となると、まだ言い切れるものがない。

 

一つには、ネズミにとって「食うのに困らない」恵まれた環境という条件から、この動物実験は、文明と繁栄を謳歌している現代の人間の行動を占うものとして解釈されるかもしれない。

 

すると、飢餓や寒さなどにさらされていた古代などとちがって、ぬくぬくと温かい飽食時代になったものだから、ひきこもりなどという行動現象が出てきたのだ、と考える者の根拠になるだろう。

 

しかし一方では、動物でさえ社会が形成されて、生活がさまざまな階層に分かれてくると、ひきこもりになる個体が現われるということは、人間でも文明が栄える前の時代、つまり太古の昔からひきこもりになる者はいただろう、と考える根拠にもなりうるのである。

 

すると、

「ひきこもりは資本主義社会の産物だ」

「ひきこもりは近代が産み出したものだ」

といった説が一斉に否定されることになる。

 

 

 

 

私がカルフーンの実験のことを知ったのは、昨年であった。

フランスのひきこもりで、たいへん博学なPという人がいる。

そもそも、ひきこもりというのは時間があるせいか、得てしてどこの国でも皆たいてい博学なものだが、このPというひきこもりは、ひきこもりに関係ありそうな学問的な業績を網羅して頭の中に入れているのである。

彼から「ユニバース25」の話を聞いて面白いと思った私は、自分で調べてみようと思った。

「ユニバース25」というのは、カルフーンがネズミの数を何千匹にも増やして同様の実験をおこなったときの実験環境の名称である。

 

ところが、カルフーンという動物行動学者の業績自体、すでに半ば忘れ去られているのか、なかなか資料が見つからなかった。

かろうじて見つかったのが、ひきポスの記事の最後につけた「参考サイト」である。

カルフーンの実験は、いまから半世紀以上も前におこなわれたものだが、それを後継するような実験はもうおこなわれていないのだろうか。

ひきこもりの生成をもっと詳しく解明するような、動物と人間の行動現象をつなぐ実験を、私はまだ聞いたことがないのである。

 

 

 

 

 

 

 

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