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やっぱり今日もひきこもる私(367)オリンピック選手は有為で、ひきこもりは無為なのか。

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新国立競技場 photo by makoto.h

 

by ぼそっと池井多

 

 昨年、東京五輪パラリンピックの延期が決定されるころに、

やっぱり今日もひきこもる私(242)東京五輪中止「まったく困らない」が7割超す

という記事を出した。

vosot.hatenablog.com

それから一年近く経ち、つい最近になって、そこへこのようなコメントを書きこんできた人がいる。

 

蛸の八ちゃん

日本にひきこもりは約100万人。日本の総人口を1億2000万人とすると1%以下です。その中の、わずか4〜50人を対象に取ったアンケートには、何の意味もありません。

ただし、今回は、問題が、モスクワ・ロス・中止になった1940年東京のように、広い意味で(戦争も含めて)の政治対立が理由ではなく、コロナウィルスと言う疫病です。

 

従って、例えばWHOなりが、『コロナは収束した』と宣言を出せる状況にならない限り、無観客開催を軸に話を進めるのが最も現実的でしょう。

何より、『中止ありき』では、アスリートが気の毒です。

申し訳ない言い方ですが、あなたのような人は、オリンピックが延期されても、58歳が62歳になって、4年分税金を無為に使うだけでしょうが、オリンピックレベルのアスリートの心身は、あなたなどには想像もつかないほど繊細です。

そして国家・国民への貢献度も、あなたはゼロかマイナスでしょうが、スポーツで世界を目指せるアスリートの貢献度は、あなたなどには想像もつかないほど大きい

 

『山下跳び』『月面宙返り』『東洋の魔女』などなどが、未だに人々の口に登ることからも想像がつくでしょう。

繰り返します。コロナウィルス対策として、無観客開催を中心に話をすすめるべきです。

世の中には『言霊』というものがあって、のっけから中止、中止と言う人がいると、それが現実になるものです。

中止になっても、あなたの生活保護費は増えませんよ

改行・太字は引用者による

 

私はいつも、過去の記事のコメントまではチェックしていない。

そのため、古い記事の下にコメントが書きこまれると、たいてい拝見しないままに終わる。

私が拝見しなければ、承認されて表に出ることもないので、そのコメントは永久に誰の目にも触れない。

 

しかし、この記事はなぜかリンクをたどっていくうちに表面に浮かび上がってきて読むことになった。

文章からして、かなり手慣れたコメンターと思われる。

投稿の際に書き入れなくてはならない連絡先も、周到に無効なメールアドレスを入れてある。

こういう卑怯さは、あちこちで荒らしの経験を積み、磨いてきたものなのではないか。

 

語句の使い方から見ると、おそらく50代以降の中高年と思われる。

私のことも、いちおう研究しているようである。

 

 自分の主観を押しつけるときに、

「あなたには想像もつかないほど……」

と枕詞を入れることによって、あらかじめ相手の判断を封じるクセがある。

たいして長くもないコメントの中で、そんな表現を2回も使っている。

 

ところが一方では、

『山下跳び』『月面宙返り』『東洋の魔女』などなどが、
未だに人々の口に登ることからも想像がつくでしょう

などというときは、

「あなたには想像もつかない」

という前提を都合よくひっくり返す。

 

じっさい、私は想像もつかない。

月面宙返り』はなんだか聞いたことあるように思うが、『山下跳び』だの『東洋の魔女』だの、私は知らない。

どこかで耳にしているのかもしれないが、私にとってはどうでもいいことだったために、そのまま忘れたのだろう。

 

ようするに、相手に「想像がつく」「想像がつかない」という区別は、すべてこのコメンターの頭の中だけで妄想的に決めつけているわけである。

このコメンターは、齢だけは重ねているかもしれないが、視野がせまく、世界が見えていない独善的なタイプだということがうかがわれる。

 

 

 

 

いま日本のどこかを聖火リレーが走っているらしい。

先日は、どしゃぶりの雨の中を聖火のトーチを掲げて、精いっぱいニコニコと笑いながら走る芸能人だか運動選手だかの姿がテレビに映っていた。

半年もつづく、あんなお祭り騒ぎが「有為」なのだろうか。

 

また、空手で五輪代表になっている植草歩選手を「強化」する立場であった香川政夫選手強化委員長は、竹刀で左眼内壁骨折させ、植草選手は手術をするはめになったという(*1)。

それでも蛸の八ちゃんさんは、

オリンピックレベルのアスリートの心身は、

あなたなどには想像もつかないほど繊細です

などとのたまうのである。

そんな言葉は一般の貧しい民草である私よりも、オリンピック強化委員にまずは言うべきであろう。

 

*1. 植草歩選手のブログ記事

ameblo.jp

 

 

多くの聖火ランナーが走るのを辞退し、

聖火リレーは自分たちの町に入ってこないでくれ」

と希望する自治体が増えている。

コロナ禍で収入がなくなり、その日に食べる物さえ苦労する人が急増している。

増え続けるコロナ重症患者、迫りくる第4波、逼迫する医療現場。

国民の総意は、いま東京五輪・パラの中止を心から願っているのではないだろうか。

 

しかし、私自身はその理由のために、東京五輪の中止を願う者ではない。

これまでも私の希望は、たいていは国民のマジョリティからはずれていた。

それでは、私はどう考えるか。

 

 

 

 

 

蛸の八ちゃんは言う。

 

中止になっても、あなたの生活保護費は増えませんよ。

 

東京五輪・パラには、1兆6440億円ものお金がかかる。

そのうち7210億円はオリンピック組織委員会が支出するが、残りの9230億円は国と東京都が負担しなければならない(*2)。

つまり税金である。

もし、これだけの金額を、東京五輪・パラに投入しなかったら、他にどういうことができるか。

 

今月、全国で生活保護を受給している人たちの受給額がまた削減された。

私が支給されている金額も生活扶助が2,600円ほど減った。

いま世の中にはもっと生活の苦しい方もいるので、これについて私は文句をいうつもりはない。

しかし、これは一度きりの減額ではないという事実がある。

半年ごとに、このように生活扶助の金額が段階的に減らされてきている。

東京五輪・パラの招致が決定した翌年から削減された金額が、総額で670億円だったという(*3)。

東京五輪・パラに投入された税金の額は、その約14倍だ。

つまり、東京五輪・パラなどやらなければ、全国の生活保護費の減額などまったく行わなくてよかった計算になる。

 

受給とは縁がない一般市民の皆さまは、生活保護受給者の生活というと、なにやら他人ごとに思われるかもしれないから、もう少し身近な比較を挙げておこう。

たとえば東京五輪につぎこんだお金で、全国の公立小中学校の給食を年間無償化できるという。

あるいは、コロナ禍による特別給付金を、貧困家庭向けにあと3回支給できる(*2)。

 

 

こうして考えると、いかに大きな金額が東京五輪・パラへつぎこまれているかということがわかる。

しかし問題はむしろ、このコメンターである蛸の八ちゃんは、そんなことを聞いても何とも思わないであろう、というところにある。

なぜならば、蛸の八ちゃんはオリンピック選手という、目に見えるところで選ばれて活躍できる人間の価値は莫大であり、その「心身は、あなたなどには想像もつかないほど繊細です」と考えているけれど、そういう社会の表舞台に出ることのない、いっけん活躍も何もしていないかに見える、社会の底辺に目立たずに生きる庶民や、貧民や、ひきこもりといった人間たちが生きている時間には意味も価値もない、と断じているからである。

 

あなたのような人は、

オリンピックが延期されても、

58歳が62歳になって、

4年分税金を無為に使うだけでしょうが

国家・国民への貢献度も、

あなたはゼロマイナスでしょうが

 

などという言葉の数々が、そんな彼の人間観を語っている。 

つまり、オリンピック選手の人生や生命や時間は有為で、ひきこもりのそれは無為である、と蛸の八ちゃんは言っているのだ。

そのように、社会の表舞台で目に見えて活躍できるわけではない人の人生を否定するイベントであるならば、それはすなわちほとんどの人の生きている時間の重みを否定し、ひいては人間の価値を否定する祭典であるということだから、私は東京五輪パラをやはり中止にすべきだと思う。

 

 

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