VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

盗みが止まらなかった私(59)

盗みが止まらなかった私(58)」からのつづき・・・

 
リュウ  ぼくはずっと
 母親を楽しませなくてはいけないという
 気持ちをもって大きくなってきたから
 自分が口を開くときには、
 聞いているみんなを喜ばせなくてはいけない、
 と思ってしまったんです。

 ほんらいシェアっていうのは、
 自分の内面を吐露するものなんだろうけど、
 ぼくの場合、そういう目的は横においといて、
 人をてきとうに楽しませるというか……

 ……なんというかな、……

 うっとうしがられないようなことを
 言わなくてはいけないと思ってしまって

 それを超えて楽しませることはできないと
 思ってしまっていたから
 
 「ごめんなさい

  ぼくなんかが皆さんの前でしゃべってしまって

  ごめんなさい

 という気持ちで

 何かしゃべったら否定されるんじゃないか
 
という気持ちがつねにあったから……

 そのときは聴衆に対して

 何かひとこと言うたびに
 「ごめんなさいごめんなさい
 って連呼してて……

 ほんと、自分がしゃべるということを許されてなかったから、
 何かが語り始めて、それを語り終わるまで
 (語っているという状態を)自分に許せなくて、
 語っている途中で「ごめんなさい」を連呼するものだから、
 聞いている人はぼくが何を言っているかわからない。

 何か話しかけると「ごめんなさい」
 何か話しかけると、べつのことを思い出して
 そっちの方に話題が飛んじゃうとか
 そっちに飛ぶと、またべつの方に飛ぶという感じで
 話を終わりきるまで自分に時間を与えないの。

 つねにこう、責められることを恐れていたから
 それで、落ち着かなかったから……


・・・「盗みが止まらなかった私(60)」へつづく
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