VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

父から逃げられない私(58)治療者のエロス

父から逃げられない私(57)」からのつづき・・・

 
ナガレ 塞翁先生も、もう70代後半。
 さすがに塞翁先生に性的魅力を感じる女性患者も
 減っているのではないか。

ぼそっと池井多 そこで、性的魅力とは何か、ですよ。

ナガレ ほう。

ぼそっと sexual と erotic のちがい、
 みたいなものではないでしょうか。

 「性的」という日本語にしたとたんに
 「sexual」にウェイトがかかってしまうようだけど、
 結局、親に求める愛情希求みたいなものも
 エロティックなわけでしょ。

 日本語でいう「エロチック」というのは、
 またちがう意味になってしまっていますね。

 だけども、ほんらい「エロス」というのは、
 ああいう、なんかこう、AVみたいな世界のものだけではなくて、
 「(性でなく)生を下から突き上げるようなもの」
 は、みんなエロスであるわけでしょう。

 だから、私はオウム真理教地下鉄サリン事件が起こった時に
 教祖である麻原彰晃が入った風呂の水を
 みんな信者が飲みたがる、という話を聞いて、
 なんとエロティックだろう
 と思いましたよ。

 あれは、まったく性器の挿入とか関係ないし、
 いわゆるsexual ではないかもしれないけれども
 erotic ですよね。

 そういうところまでエロスという概念の範囲を
 広げて考えるのが、
 ほんらいの「エロス」のとらえ方であって、
 そこまで考えると、さっきナガレさんがおっしゃった
 「塞翁先生に可愛がられたい
 という感情は、
 あきらかに「エロティックな感情」ですよね。

 塞翁先生の患者のなかにも
 「エロス」という概念を誤解していらっしゃる方が
 いるように私は見受けるんだけれども、
 リカモリの受講生はさすがに
 フロイトを系統的に学ぶんでしょうね。
 すると、たとえば「エロビデオ」という次元で
 「エロ」というものをとらえている方は、
 一人も輩出されてこないものと希望的に思います。

 そういう問題ではないわけです。

……。
……。
 
・・・「父から逃げられない私(59)」へつづく
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