VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

人とつながれない私(5)「これだけ自分を低くするので見逃してください」

人とつながれない私(4)」からのつづき・・・

Edited by ぼそっと池井多
 

ひきこもりと恋愛

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写真:PhotoAC
 
ぼそっと池井多:これを「ふつう」
言っていいのか分かりませんけど、
多くの女性は二十代というと、ふつうみんな
お買い物だ、パーティー恋愛だ、結婚
といったことで忙しかったりしますけど、
そういう人たちは、
瀬戸さんからご覧になると、どのように見えてましたか?

瀬戸:(私の20代の)当時ですか。

ぼそっと池井多:今でも結構ですけど。

瀬戸:今は…、それはそれで良いって思います。

ただ、それを自分に強要されると困ってしまうけども、
もし強要されず、
あたしはあたしでひきこもってる40代の女性で、
「それはそれでOK」
って受け入れられるんであれば、
恋愛だ結婚だ、(と他の女性たちが)どういう風に言っていても、
わたしはあたたかく見ていられます。

 

生活保護を受けるという葛藤

ぼそっと池井多瀬戸さんは28歳の時に
精神科医療機関に繋がって、
それを基盤として、生活保護を受給し始めた、と。

私自身も生活保護だからわかるけど、
あれは医療にかかってることが
受給の始まりの条件とされることが多いから(*2)、
あなたの場合、医療につながることで、
安心してひきこもりで生きていける
生活基盤が整えられたわけですね。

46歳の現在まで、
それから生活はあまり大きく変わってないのでしょうか?

*2. 法令的には、生活保護の受給に際して
医療につながっていることが必須の条件ではない。
しかし瀬戸さんや私が受給を始めたころ、
2000年以前は、東京周辺では、それが慣例的に
査定の基準になっていたように思われる。

瀬戸生活保護を受け始めてから今まで、
治療機関に通っていることは変わってないですが、
私自身が、生活保護を受けてひきこもれるようになった時に
すごく嬉しかったし、すごく安心したし、
そのありがたさはずっと変わらないんですけど、
どっかで、ずっとこのままじゃいけないって
二十代、三十代、思ってました。

ずっと、いつかはどうにかならなきゃいけないのに、
ずっとこのまんまじゃいけないって
ずっと思いながら生きていたので。

あと、人の目もすごく気になるというか、
メンタルクリニックに繋がってるから許してもらえてるけど、

「そうでなかったら
とてもじゃないけど許されない」

と自分で思っていたので、
自分のひきこもり方に肯定的では決してなかったです。

むしろ下に下に、

自分はこんな立場ですが、
これだけ(自分を)低くするのでどうか見逃してください

という気持ちをずっと持ってました。

それが自分と同じような、
生活保護を受けて治療機関に繋がっている人たちの
コミュニティに関われるようになって、
ごく最近、変わって来てます。

「このままじゃいけない」

って思いながら、本当は

「ずっとこのままでいたい」

って本音があったので、
だからこそ罪悪感が強いっていう……。

本当は「このままでいたい!」と思ってるけど、
世間様はそれを許さないから
このままじゃ本当はいけないんだよね
って、外に向かっては言ってる。

「あたし何とかしなきゃいけないんだよね!」

って、言い訳してる感じで。


ひきこもりと結婚

ぼそっと池井多:「何とかしなきゃ」
って思ってた二十代、三十代にかけて、
具体的には就労とか結婚とか、
社会の一般的な生活形態に、
自分を押し込めることを考えていらした?

瀬戸:結婚は考えてなかったです。

なぜか常に、結婚は私にとって
選択肢として、もともとない。

自分には「結婚できない」と諦めてるとかじゃなく、

「(結婚と自分は)関係がない」

というか。

別に結婚という行為があっても構わないんですよ。

でも自分が何かを選ぼうとする時に、
結婚はあんまり入って来ないです。

でも就職は…。
いま問われてあらためて思い返して、

「本当にあたし何とかしなきゃ」

って思ってやってたのは、
世間様の目が気になってたからだけであって、
実際には何もしようとしてなかったのが
改めてよく分かりました。


ひきこもりを続けるための外的条件として作業所

瀬戸:例えば福祉の方の勧めで、
(福祉)作業所に行ったりはしてましたけども、
そこから本当に自立して行けるやり方はしてませんでしたし、
少しでも自分が正当性を持って引きこもっていられるために、
せめて作業所ぐらいは行っておこう
みたいな気持ちでしょうか。

ぼそっと池井多:正直な、いい言葉ですね。

「正当性を持って引きこもっていられるように。」

瀬戸:何ていうんですかね?
外面だけは整えておこうと。

ぼそっと池井多:わかります。

ひきこもりから脱しようとしているポーズだけは
外面的に整えておこうと。
だけど内面としては、
ひきこもりという生き方をずっと安全に続けていたい、
ということでしょうか。

瀬戸:それが本音です。

仕事とか結婚とか全く考えないで、
ただこのひきこもり生活がどうしたら続くかということで、
作業所に行ったりしてたな、と思います。
 
 
 
・・・「人とつながれない私(6)」へつづく
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