「人とつながれない私(7)」からのつづき・・・
Edited by ぼそっと池井多
オタク文化への情熱
ぼそっと池井多:ガッツリ引きこもってる最中は、
インターネットはよく見ますか?
瀬戸:見ます。
ぼそっと池井多:ネット画面も見られないくらい、
寝たきりの状態になる事もありますか?
瀬戸:ありました。
ネットの中の人の気配が耐えられなくて、
ネットもできない時期もありました。
ぼそっと池井多:外は出られないけど
インターネットはずっと見てる事も多いわけですね。
あと最初の方のお話で、
貸しマンガ屋というお話ありましたけど、
瀬戸さんはアニメはよくご覧になってますか?
瀬戸:はい、子どもの頃に。
住んでいたのが田舎だったので、
東京よりもちょっと遅れがちで放映されてた
と思うんですけど、
比較的リアルタイムでガンダムとか見てた世代ですね。
ぼそっと池井多:そのアニメへの熱というのは、
年齢を重ねて行くに連れて変化しましたか?
それとも同じでしたか?
瀬戸:三十代までは深夜アニメとか良く見てました。
特にグッズを買いに秋葉原に行ったりとか、
イベントに参加したりとかは、
ひきこもりなのでしないんですけど、
深夜アニメは良くチェックしてましたね、三十代までは。
でも四十歳を境に、
何となく、何でだろう…?
何となく自分の中で
その気持ちが衰退して行ったんですよね。
ぼそっと池井多:そうすると、
夢中になれるアニメへの熱が
失せて行ったぶん、
その熱はどうなったんでしょう?
アニメに夢中になれなくなったぶん
虚しさが出て来るなり、
何をしていいか分からなかったり、
それとも別の興味の対象が出てきたりとか。
そういうことはありますか。
瀬戸:別の興味の対象が出て来ました。
今だったら「名家の妻たち」っていう、
十九世紀初頭の中国の地方の名家の一族の話なんですけど、
小規模の「大奥」みたいなドラマにちょっとハマっていて。
ぼそっと池井多:実写ドラマですね?
瀬戸:そうですね。
興味の対象が、
アニメから実写に移って行ったんですよね。
でももともとあたし、
そんなにすごいアニメにドハマりしてる人ではなかったので。
貸しマンガ屋はよく行ってましたけど、
それとアニメとは別物ですね。
ぼそっと池井多:アニメはいちおう楽しむけど、
いわゆるサブカルチャーオタクではなかったという事ですか?
瀬戸:そういう風にもなれなかった
って自分では認識してるんですけど。
そういう風にサブカルチャーオタク、
そっちの世界を居場所とすることもできないみたいな。
ひきこもりとしての将来の不安
ぼそっと池井多:最後の質問になりますが、
これから年齢を重ねて行くにつれて、
将来の不安というと、どういう事がありますか?
瀬戸:まず、このまま
生活保護を受けていられるかどうかですね、今の所は。
自分が歳をとって
自分で自分のことをできなくなったらとかは、
今はちょっと考えてないかな。
それよりも、このまま今の時代が
だんだんどんどん厳しくなって行く中で、
生活保護を受けて、
このまんまで居てもいい時間が続くだろうか
という事が一番不安です。
ぼそっと池井多:つまり社会保障制度が改悪されて、
どんどん厳しくなって、
もはや私たちは生活保護の受給対象からも
外されちゃうんじゃないかと。
そうしたら、どうやって生きてって良いか分からない
という不安という事ですね?
それは本当に、私なんかの貧困層、
ひきこもりにとっては切実な問題ですね。
非常に濃いお話を、色々どうもありがとうございました。
人とつながれない私(完)