VOSOT ぼそっとプロジェクト

ぼそっとつぶやくトラウマ・サバイバーたちの生の声...Voice Of Survivors Of Trauma

子どもができてひきこもった私(9)娘との再会、母の悔恨

子どもができてひきこもった私(8)」からのつづき・・・

by ぼそっと池井多
 
がきんちょ 離婚後しばらく娘と住んでいる間は
 それほどでもなかったんですけど、
 やっぱり娘と離れ離れになって、
 そのあとがきつかったですね。

 離婚後、娘が私のところに住んでいたときは、
 元旦那は自由に娘に会いに来ていたので、
 こんどは娘が元旦那と住むようになっても、
 私は自由に娘と会えるものだと思っていたんですけど、
 ぜんぜんそういうことはなくて…。

 「娘に会うなら、ぜったいに自分を通してくれ」
 と元旦那が言ってきたりして。
 それで、自由にアポも取れない。
 だから、娘に会いたいのに会えないという状態がつづいて。

 自分は娘に会えないのに、
 自分の親からは頻繁に連絡が来るようになったのには、
 すんごいムカついてきて。

 「こっちは子どもに会えないのに、 
 なんでそっちは無理やり子どもに会いに来るんだよ」
 っていうふうに思ってしまって。

 そんなわけで、荒川に引っ越してすぐのころの
 毒親への対応がすごいしんどかったですね。

ぼそっと池井多 毒母、ですね。
 お父さまはそういう時、いっしょにやってこない?

がきんちょ ええ、来る時もありましたけど。

ぼそっと池井多 それでがきんちょさんが思うように
 自分の娘さんに会えない年月のあいだに、
 娘さんは高校で不登校になっていたんでしたっけ。

がきんちょ 中学三年生のときに不登校になったらしいです。

 自分はそのことをぜんぜん
 中学の卒業式の日まで知らされていなかったんですけど。

ぼそっと池井多 不登校の原因は何だとお聞きになりました。

がきんちょ 行っていた学習塾がカリキュラムを先取りで
 かなり先までやるんですよ。
 中学2年生で、3年生までの内容をすべてやってしまうとか。

 それで生徒である娘本人は、
 それ以上、学校へ行く意味を見失ってしまったというか。

 それでも公立高校をめざすのなら
 内申点とかが響いてくるから、
 せいぜい学校へ行っておかないといけないんですけど、
 娘の受験の志望は私立に向いていたので、
 そういう意味でも学校へ行く意味がなくなってしまって。

ぼそっと池井多 それで娘さんは私立の高校へ?

がきんちょ ええ、わりと厳しい校風の学校なんです。
 娘は、自分から厳しい環境をえらんで行くところがありますね。

 ひきこもりな、がきんちょな親とは
 その点、真反対なんです。

ぼそっと池井多 いまはもう大学生でいらっしゃる?

がきんちょ そうですね。
 小学生の頃の目標を有言実行しちゃった、って感じですね。

ぼそっと池井多 娘さんが中学・高校のときは
 思うように母親として会えなくて、
 大学生になってグーンと大人になった娘さんと会うと、
 母と娘の関係性に断層のようなものができませんか。

 「うちの子、こんなに大きかったんだっけ」
 みたいな。

がきんちょ そうですね。
 高校に入ったときが、ものすごく
 久しぶりに会えるようになったというのがあって、
 年1回ビックサイトで行われるお祭りに
 「あれ買って。これ買って」
 と言われながら一緒に行くようになったんですけど。

ぼそっと池井多 私、そういう
 オタク方面の話題はよくわからないんですけど、
 ようするにコミケだかフヌケだかっていう
 オタクたちのお祭りのことですね。

がきんちょ ええ、ええ。
 そういうところでおねがりしてくれる娘が、
 なんか、とっても、いいというか。

ぼそっと池井多 それで今はもう大人のオタク仲間みたいな
 新たな関係性が再構築できたわけですね。

がきんちょ ええ、自分もヲタでヘタレなところがあるんで、
 そのまま娘も腐女子一直線で行ってくれるかなあ、
 って期待したんですけど、
 どうもそうはならなくて、
 今はほんとうにリア充な大学生って感じで…。

 残念ながら、コミケにも興味が失せたみたいで…。

ぼそっと池井多 がきんちょさんは自分が母親からの
 過干渉でさんざん苦しんだから、
 自分の娘にはそうなるまいとして
 かなり気をつけていたということがありますか。

がきんちょ 娘がおじいさん・おばあちゃんにお世話になっていて
 おじいちゃんおばあちゃん子になっていたというのも、
 私の育児方針によるものでした。

 大勢の人がいるところで
 いろいろな人に関わり合いながら育っていく方が
 親の自分が独りよがりに育てるよりも
 いいんじゃないか、って
 私もずっと思っていたんですね。

 なので、学童保育とか、
 そういう社会資源も最大限に生かして育てました。

 でも、ちょっとそれが行き過ぎてしまって、
 結果としてちょっとネグレクトぎみに育ててしまったのかな
 と、今ではそれを後悔しています。

ぼそっと池井多 でも、ネグレクトというのは虐待の一種で、
 虐待であれば何か後遺症が出たりするでしょう。

 娘さんは立派な大学生になって、
 なおかつお母さんであるがきんちょさんとも
 良好な関係が築けている、ということであれば、
 後遺症が出ていない、
 ネグレクトというほどのことでもなかった、
 とも考えられますが。

がきんちょ ただ、自分の場合、
 親がすべきことを全然してこなかったので…。

 ここでもちょっと白状しましたけど、
 子どもに予防接種とか受けさせなきゃいけない時に、
 子どもが注射を嫌がっちゃうと
 それでもう連れていくのが大変だから、
 じつは小学生のあいだ何も
 予防接種受けさせてないんですよね。

ぼそっと池井多 ただ、ネグレクトにしても過干渉にしても、
 当の母親の側が
 「自分は虐待したかも」
 という自覚をもっている場合は、
 母親はいくらでも修正することも
 子どもに謝ることもできるでしょうし、
 謝られれば子どもの方だって人間として
 納得する部分も大きいと思いますよ。

 私の母親は謝らないから、私の怒りも解けないのです。

がきんちょ なんだろ、やっぱり家族って
 ものすごく距離が近いからこそ言いたいことが言えない
 って部分があると思います。

 自分もなかなか心の底をひっくり返して
 娘にモノが言えてない感じがあります。

 ふつうだったら、ずっと一緒に暮らしてきて、
 いくらでも言い合える場面が
 生活の中であるんでしょうけど、
 自分と娘はそのように暮らしてこなかったので…。

……。
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